新守護神に指名された栗林良吏が圧巻の投球を見せている。いまだ無失点を続ける驚異のドラ1右腕を、カープOBの大野豊氏が独自目線で分析する。

12試合連続無失点と、新人初登板からのプロ野球記録にあと1試合と迫っている栗林良吏投手。

 私は開幕前に「栗林にクローザーのチャンスを与えてみるのも面白いのではないか」と紹介しましたが、実際にクローザーを任され、開幕から結果を残しています。ストレートとフォークのイメージがありましたが、カットボールも良さそうですね。

 クローザーの条件として、球が速くて三振を奪える球を持っていること。そしてメンタルの強さがあげられます。そういうことを踏まえても、今のメンバーの中では、栗林が一番適していると思いますね。

 もちろん初登板は相当緊張したと思いますが、しっかりと結果を出したことは自信にしていいと思います。ただ、今後おそらくどこかで痛打を浴びる試合も出てくると思います。そうなったとき、気持ちをどう切り替えて次の試合を迎えることができるかが、シーズンを通してクローザーの役目を全うできるかのポイントとなってきます。

 現役時代に私も抑えの役割を担いましたが、結果に一喜一憂しないよう意識していました。一番最後に投げる投手は例え10回成功したとしても1回失敗するとガクンと落ち込むものです。なので結果が良くても悪くても生活ペースを変えないように心がけていました。それもこれも失敗した時の怖さを痛いほど知っていたからです。

 森下も栗林もドラフト1位で入団した選手だけに、他の選手に比べて目に見えない重圧は大きいのではないかと思います。勝負の世界ですから、選手は常にプレッシャーと向き合っていかないといけません。

 私が意識したのは、自分の調子を、今日は良い、悪いと自分の頭だけで判断しないようにすることです。自分がその日の精一杯の球を投げ切ることができるか、まずはそこを強く心がけていましたね。