『エイジェックスポーツ科学総合センター』は、日本最大の民間スポーツ科学施設として2024年7月、栃木県栃木市にオープンした。

 様々なスポーツ事業を展開してきたエイジェックが運営する、トップアスリートから育成年代、一般のスポーツ愛好者まで幅広い層を対象にした、科学的根拠に基づく測定・評価・トレーニングを提供する複合施設だ。

 この連載では「アスリートのために何ができるのか」をテーマに、同センターの取り組みや役割を紹介してきた。

 センターに従事するスタッフは、各分野の専門的な知見や資格を持つスペシャリスト。最終回となる今回は、センターの各分野を代表するスタッフに、『アスリートのため、どんな役割を担っているのか』を聞いた。

トレーナー松橋 朝也さん

◆選手のベストパフォーマンスを支えられるように

[トレーナー]松橋 朝也氏(チーフトレーナー)

 我々トレーナーチームは選手のパフォーマンス向上をサポートするため、トレーニング処方はもちろんのこと、コンディショニング管理、栄養指導、傷害予防、ケガの治療からリハビリ計画等を担っているため、幅広い知識を有し、かつ、社内に所属する各専門家との連携が必要になります。

 当施設内では、投手指導プランやコンディショニングサポートプラン等において、日々、クライアントのニーズに応えられるように尽力しています。

 また、施設内で十分に経験を積んだトレーナーは、外部チームにまで活動分野を広げます。エイジェックスポーツ科学総合センター開設以降、スポーツチームへのトレーナー派遣にも力を入れており、理学療法士や鍼灸師、アスレティックトレーナー等の有資格者が、高校・大学などのアマチュアチームはもちろん、実業団・プロチームで活躍を続けています。

 スポーツ医科学分野は日々進化しているため、自身のアップデートはさることながら、アナリスト・管理栄養士など、各専門家と連携を図りつつ、選手のベストパフォーマンスを支えていきます。

◆「感覚」を「数値」で支える

[アナリスト]髙橋 奏太氏

 来訪されるお客様や、業務委託を受けている野球チームのアナライズ業務やスキル指導を担当しています。心掛けているのは、測定したデータが全てではなく、選手自身の感覚も大切にしながら指導することです。あくまでも、パフォーマンスのさらなる向上の一つの手段として、データを役立ててほしいと考えています。

 膨大な量のデータを取捨選択して、コーチ、指導者、選手に最適なデータを提示する時は、正直、技術面など数字では表せない部分を伝える難しさもあり、もどかしさを感じることもあります。それでもデータから課題が明らかになり、選手やお客様のパフォーマンスが上がった時は嬉しいですね。

 これからも、コーチ、選手が持つ感覚と、測定したデータをすり合わせながら最適なサポートに努めていきたいです。

◆「食」から考える健康とパフォーマンス

[管理栄養士]佐藤 礼美氏

 フードラボのメニュー作成と食材の発注、また選手への栄養指導や講習などが主な業務です。

 アスリート向けの食事は、主菜でタンパク質を多めに確保して、副菜で栄養のバランスをとるようにしています。対象者の発育状況や競技レベル、年代、生活スタイルに合わせた栄養指導を心掛けています。

 毎日の食事は自分で管理しなければならず、習慣にしていた食生活を指導だけで変えることは難しいんです。そのため、選手に合わせた食事内容や栄養のバランスの重要性を丁寧に伝えています。そのような中で、選手の食事に対する意識が変わったり改善されたりして、その選手のパフォーマンスも良くなった時は嬉しく感じます。食事方法を変えたことで、選手自身が体の「変化」を実感したと報告してくれて、その思いを共有できることが何よりのやりがいです。

◆終わりに

「エイジェックスポーツ科学総合センター」は、単なるパフォーマンスを「測る場所」ではなく、「変わるきっかけをつくる場所」です。

 ベースボールラボでは野球の感覚を科学でつなぎ、アローズラボ・ジムで身体の土台を整える。そこに専門スタッフが連携して関わることで、競技力向上にとどまらず、健康の維持増進、ケガの予防や育成といった中長期的な視点で、一人ひとりを支えています。

 私たちは、これからのスポーツ界に求められるサポートの在り方を見据え、日々の現場で試行錯誤を重ねながら、一人ひとりの成長に寄り添い続けることを目指していきます。