今季はキャッチャーだけではなくサード、ライト、センター、レフト、DHを経験するなど、貪欲に出場機会を模索してきた中村奨成。4月16日には一軍昇格を勝ち取り、同日の中日戦ではプロ初スタメン(レフト)でプロ初安打も記録した。

今季は出場機会を得るため内外野にも挑戦している中村奨成選手。

 しかし、トータルでは8打席のみの出場にとどまり、打率.333ながら5月9日に出場選手登録を抹消。再び一軍昇格を目指す戦いに身を置くこととなった。

 現在は出場機会を増やすためにさまざまなポジションに挑戦しているが、そもそも捕手としての評価はどのようなものなのか。ここでは中村がプロ1年目のときから指導に携わってきた倉義和一軍バッテリコーチが、2018年のルーキー当時に語っていた中村評を改めて振り返る。
(『広島アスリートマガジン』2018年5月号掲載)

◆高卒選手としては全体的な身体能力は高い

 中村奨成については、まずなんと言っても肩が強い点が、捕手として長所の1つです。また高卒選手としては、全体的な身体能力は高い方だと思います。

 ただしキャッチング、ブロッキングなど捕手としての技術面はまだまだですので、球を捕る、投げる、止めるといった基本的な部分からしっかりと指導しています。特にワンバウンドする球に対する反応は力を入れて学んでほしいところです。

 思っている場所と違う所に球が飛んだときにどう反応をするか、これが捕手として大事なことになってきます。今まで自分がやってきたことが体のクセとして染み付いている部分がありますから、まずはそこを直していきたいと思っています。

 彼の場合、肩が良いと言っても、上体に頼って投げるクセがあります。プロの世界では体全体を使って送球しなければいけません。これは送球スピードはもちろんのこと、球の制球力を高める狙いもあります。

 また肩に頼って投げていると、シーズン通して試合に出たときに間違いなく肩に疲労が溜まってきます。送球面では下半身をいかに使うかという点に意識を置いて指導しています。