一軍昇格に向けて、二軍で鍛錬を重ねる田中法彦投手。

◆再び強い球を取り戻し、リリーフとして活躍を

 昨季、田中法彦に与えられた役割はクローザー。二軍とはいえ、試合を締めくくる大事なポジション。田中は、強靭な体格から繰り出すキレの良い直球、僅差でも動じない心の強さを武器に結果を残していった。

 二軍での安定した成績が評価され、10月には2年目にして初の一軍昇格。10月29日のヤクルト戦(マツダスタジアム)でプロ初登板を飾ると1回を無失点に抑える快投を見せ、プロでの歩みを加速させた。

 それだけに今季、田中法にかかる期待は大きかった。春季キャンプでは一軍に帯同し、練習試合でも登板の機会を得た。しかし、開幕前に二軍降格となり、開幕一軍はならなかった。

「昨年一軍で投げさせてもらい、球の質、変化球、コントロール、全てでレベルアップしないといけないという思いで自分を見失っていました。今は一度リセットして、まずは質の良い球を投げることを一番に意識しています」

 ストレートとカットボール。昨年飛躍するきっかけとなったこの2球種の質をもう一度取り戻していくのが課題となる。そして、今季もリリーフとしての成長を目指す田中法は、結果同様に内容も追求していくことが一軍入りへのアピールへとつながっていく。

「無失点でも内容が大事だと思うので、安打や四球があっての無失点ではなく、打者を圧倒して、良い内容で無失点に抑えられるようにしていきたいです」

 昨季、ファームで最多セーブを獲得したリリーバー。キャンプでは実力を発揮できずにいた田中法だが、目線は一軍を見据えて黙々と練習に取り組んでいる。高卒3年目の今季、再び自らの武器に磨きをかけ、若い力の躍動が目立つ一軍リリーフ陣に自身の名前を連ねたい。