鬼門と呼ばれる交流戦は最下位で終了するも、リーグ戦再開となった6月18日からのDeNA3連戦は勝ち越しスタート。若手選手の活躍が目立つチームの戦い方を、カープOBの笘篠賢治氏が考察する。

6月19日のDeNA戦でプロ初本塁打を放った中村奨成選手。

◆成長著しいカープの若手野手の活躍が逆襲の鍵となる

 交流戦の反省を踏まえ、どのようにリーグ戦を戦うかというところで、6月18日〜20日のDeNAとの3連戦は、点を取って打ち勝つことができたのは明るい兆しですね。6月20日の試合も敗れはしましたが、9回に4点を取って、“まだまだ諦めない”という気持ちを選手が見せてくれました。苦しかった交流戦が終わり、リーグ戦再開まで1日しか休みがなかったですが、リセットして気持ち新たに戦うしかないですからね。

 明るいニュースもありました。6月19日に中村奨成、翌20日には石原貴規にプロ初本塁打が出ました。中村奨はやっと出たという感じですが、年齢の近い若手たちが頑張っているなかでの相乗効果もあるのかなと思います。最近は代打での出場が多いですが、物怖じすることなく思い切ってプレーしていると感じています。

 石原も20日の試合は5打数4安打と大暴れでした。ただ、打撃は素晴らしいものを見せてくれましたが、捕手としては、少し点を取られすぎている部分があります。3回のオースティンの満塁本塁打も、防げた一発だったと思いますね。捕手としての経験不足を感じた場面でした。會澤翼が不在の今、スタメンマスクを被る機会が増えてくると思うので、捕手としてのリードをこれからもっと勉強していってほしいですね。

 同じ捕手でいくと、持ち味の打撃を活かすため、一塁手での出場が増えている坂倉将吾にも注目したいです。守っているとき、捕手として感じることもあると思うので、気になったときには捕手や先輩内野手に遠慮せず、投手に声をかけに行っていいと思います。野手として守っていると、捕手とは違う着眼点が生まれるのではないかと思います。一言でもいいので、自分の気づいたことを伝えるのは、自分のためにもなるし、投手にとっても有り難い部分があると思いますね。

 もう一人。打撃陣では、林晃汰の成長も著しいです。プロ初本塁打のときにも言いましたが、逆方向には見事な打撃を見せていて、あとはインサイドの捌き方が課題だと感じていました。最近の打撃を見ていると、インサイドを打つときのポイントが見違えるほど良くなりましたね。ライト方向に強い打球を打ち返すポイントを覚えつつあると思います。6月の成績が素晴らしいだけに、このまま調子をキープしてもらいたいですね。

 ペナントレースの行方はまだまだわかりません。諦めずに戦っていれば、きっとCSへの道も見えてきます。まずはオリンピックまでの約20試合、巻き返していけるように頑張ってもらいたいです。