◆自分で自分を潰さないために、努力をやめない

─毎日練習をしていないと気持ちが悪い感じですか?

「バットを握っていない日があるのも嫌です。自分自身が練習をやらないんだったら、そういう風に思わなかったと思うんですけど、練習をずっとやってきてたから休んだときにそういう気持ちになるんです。『こんなんで活躍できんのか? いやできないだろ』って自問自答です。打てないと悔しいし、全部打ちたいっていう気持ちでいるから、また考え過ぎちゃう。考え過ぎなのかな、もう考えないでいいかなって思ったときもあったんですけど、堂林(翔太)さんに相談したら『すごい選手も何かしら自分の中で考えてやってるし、前田智徳さんも考えてやっていたんだよ』っていうのを聞いたら楽になりました」

─才能があるからこそ、練習することが大事だということを改めて実感したのでしょうか?

「それは高校のときからずっと言われていました。『お前は才能があるのに練習しないからダメなんだ。野球選手として潰れるぞ』って言われても『打てばいいんだろ』って心の中で思っていました(笑)。でもそれは高校生までの考えで、今は本当に自分の才能というか、足の速さ、肩の強さ、体の強さなど、生まれ持ったものを生かさないと意味がないと思っています。野球しかやってきていなくて、せっかくこういう世界に入れて、これで努力しなかったらもったいなさ過ぎますよね。自分で自分を潰したくないんです。練習して練習して、それで結果が出ない方がまだいいです。自分の才能がなかっただけと思えたらいいんですけど、あのとき練習しておけば良かったって思いたくないから、一生懸命やりたいですね」

─ストイックに過ごした2年が終わり、2年目のシーズンになりますが2014年はどんな年にしたいですか?

「一番はずっと一軍にいて、結果も出して認められる年にしたいです。レギュラーまではいかなくても半分以上の試合には出たいし、その中でもしっかり結果を出していきたいなって。目標設定を高くしておかないと、なんか終わっちゃう気がして嫌なんです。無理な目標を立てて、それを追いかけようと思って練習しているのに、それが簡単に達成されちゃうと『もういいかな』って思っちゃうんですよね」

─今掲げている目標はなんですか?

「100試合くらい出て、ホームランもそこそこ打てて、打率も3割。でも今の実力だとそれは無理なんです。そうやってやらないとやらなくなっちゃうんですよね。実は、今言ったのよりもっと高い目標はあるんですけど、自分の中だけで隠しています。達成できたときに自分で自分を褒めようかなって。それを達成したときは教えますね(笑)」

◆2013年から2020年に行った鈴木誠也のインタビューは、広島アスリートマガジン2020特別増刊号「鈴木誠也 全インタビュー集」で公開中。