カープ球団を支える人たちは、どんな仕事をしているのか?本連載は、さまざまな立場・場所からチームを支える人たちにスポットライトを当て、裏側のお仕事について探っていく。今回は現在注目を集めるドミニカ選手通訳のフェリシアーノさん。現在の仕事内容や、やりがいなどについて話を聞いた。(全2回/第1回)
◆チャンスをもらえた喜び。球団やチームに貢献し続けたい
私は2002年にカープの練習生として初めて来日し、2004年に支配下登録されてから3年間カープでプレーをしました。その後は、イスラエル、メキシカンリーグ、ウィンターリーグ等でプレーを続けていましたが、膝のケガをきっかけに現役を引退しました。引退直後の2011年に、カープアカデミーのヘッドコーチとして声をかけてもらってから、ずっとカープにお世話になっています。
現在の仕事は2つあります。1つはドミニカ出身選手たちの通訳として、グラウンドでのサポートはもちろん、普段の生活サポート。2つ目はカープアカデミーのヘッドコーチとして若い選手に指導をしています。通訳になったきっかけは、カープアカデミーで日本語を話せる人がクレートしかいなかったことです。私は日本でのプレー経験があり、少しだけ日本語を話すことができて、日本の文化も知っているということで、2019年から日本での通訳人生が始まりました。
これまでは、カープアカデミー出身の選手が在籍しているシーズンはクレートと半年ずつ交代で、通訳、カープアカデミーの育成を行っていました。今シーズンは日本でファビアン、モンテロ、ドミンゲスたちの通訳を行うことになりましたが、彼らはカープアカデミー出身の選手ではありません。初めての日本ということで少し心配はありましたが、プレー面では、やっぱりメジャーの選手は違うなと思わされました。
実はファビアンたちが来日前、ドミニカで、駐米スカウトのマクレーン、シュールストロムらとみんなで食事をする機会がありました。1週間一緒に過ごし、彼らに日本の文化や、日本の野球のアドバイスをしました。
私から彼らには「あなたたちはメジャーでの経験があるかもしれないけど、日本の野球は、とても繊細な野球をする。だから、しっかり頭の中で考えを切り替えなければならない。日本の投手に対応するためには、メンタルを変えないと、活躍できないよ」と伝えました。また投手のドミンゲスには、「ランナーはすぐ走るから、クイックができない投手、牽制できない投手は日本で成功できない」ということも伝えました。
来日直前には「まだ1カ月あるからしっかりと意識して練習をしてね。あなたたちはまだ若いから、日本の野球を受け入れて必ずできるはずだ」と伝えたり、来日前にできるだけ彼らに日本の野球、日本での生活をイメージしてもらえるようコミュニケーションをとっていました。
ファビアン、モンテロ、ドミンゲスの素晴らしいところは、私が言ったことを受け入れてくれるところです。いつもアドバイスを受け入れて練習でトライしていますし、日本人選手のプレーをリスペクトしています。そういう姿勢で一生懸命に頑張っているからこそ、良い結果が出ていると思います。
(後編へ続く)