◆『前田智徳2世』と期待されたセンスの持ち主

 前間の後を受けて1996年に「88」から「38」に変更された朝山東洋は、そのセンスとキャラクターから「前田智徳2世」と期待されたが、外野が人材豊富だったこともあって一軍デビューには1999年までの時間を要した。2000年にはキャリア最高の58試合に出場し、5本塁打を記録。しかしその後はケガもあって本領発揮ならず、2004年限りで引退。翌年以降現在までコーチとしてカープを支えている。

◆世界を驚かせた“スパイダーマンキャッチ”

 2008年からは、プロ4年目で阪神から移籍してきた赤松真人が背負った。平安高校から立命館大学を経て2004年ドラフト6巡目指名で入団した阪神時代は目立った成績を上げられなかったが、カープでは初年から一軍に定着。いきなり125試合に出場を果たした(阪神時代の最高は2007年の28試合)。

 打撃もさることながら、持ち味を発揮したのは俊足と堅守。2010年には20盗塁を記録するなど足の速さが強みとして発揮され、代走としても重宝された。また2008年には両リーグ1位となる9つのセーフティバントを成功させたりもして、技巧派としての活躍が光った。

 25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年にも代走・守備要員として赤松ならではの貢献を見せていたが、同年シーズン終了後に胃がんが見つかり戦線離脱。治療を重ね、2017年後半には現場復帰。一軍復帰を目指して2019年までウエスタン・リーグでの出場を続けたが、この年限りで現役を引退。昨季からはカープの二軍コーチを務めている。

 また、赤松と言えば、世界を驚愕させたプレーも印象深い。2010年8月4日のDeNA戦(マツダスタジアム)。村田修一が放ったホームラン性の打球を、華麗な動きでフェンスによじ登りキャッチするビッグプレーを見せた。これには海外メディアからも注目が集まり、”スパイダーマンキャッチ”と称され、人々の記憶に残り続けている。

◆元メジャーリーガーから放ったプロ初ホームラン

プロ2年目の宇草孔基選手。今季、プロ初本塁打を記録した。

 12年間にわたって「38」を背負った赤松の引退後、昨季からその背番号を受け継いだのはドラフト2位入団の宇草孔基。常総学院高から法政大で活躍し、ルーキーイヤーには10月初旬に一軍デビューし、13試合に出場。今季はレギュラー定着を目指して奮闘中で、6月5日の楽天戦では、田中将大からプロ初本塁打も放った。赤松と同じく俊足でも知られており、カープ野球を支える活躍に期待だ。

【背番号『38』を背負った主なカープ選手】
水谷実雄(投手/1966年-1970年)
前間卓(投手/1990年-1995年)
朝山東洋(外野手/1996年-2004年)
赤松真人(外野手/2008年-2019年)
宇草孔基(投手/2020年-)
※初めて背番号を付けたシーズンのポジションを表記。