林晃汰や小園海斗など、若手野手の台頭が目立つカープ打撃陣。今後の戦いに向けてポイントとなる部分を、カープOBの笘篠賢治氏が独自目線で分析する。

6月22日のヤクルト戦で、プロ初の4番に抜擢された林晃汰選手。

◆4番の重圧が感じられた林晃汰の打席

 先週の試合を振り返って、まずふれたいのは『4番・林晃汰』についてです。

 6月22日のヤクルト戦(マツダスタジアム)、鈴木誠也が新型コロナウイルスのワクチン接種の副反応により試合に出場できず、林が代役として4番に抜擢されました。その日がちょうどTVの解説だったのですが、この起用は正直驚きました。

 1打席目、2死三塁のチャンスで打てず、後半のランナーがいない場面では2安打。解説席から見ていて“4番の重圧”を感じているようにもみえました。その後も3試合、4番で出場していますが、いずれもノーヒットと結果を残せませんでした。

 4番はプレッシャーのかかるポジションです。林の立場を考えると、すぐに4番としての結果を求められる立場ではないと思いますが、下位打線ではしっかり自分の打撃ができているのを見ると、まずは6番や7番あたりで起用してあげるのがいいのかなと思いますね。

 また、林が4番として出場した試合はチームも勝てていないので、勝敗を左右する役割だと痛感したことでしょう。鈴木誠也がスタメンに復帰した6月26日の中日戦(マツダスタジアム)で、完璧な当たりの本塁打を含む3安打を放ったのを目の当たりにすると、改めて鈴木のスゴさが分かりますよね。

 鈴木の打撃を見て、林本人も4番打者とはこういった存在だと気付かされたのではないかと思います。初めてクリーンアップに抜擢された際にも話しましたが、この経験がいずれ生きるのは間違いないです。将来そういった打順で打たせてもらえるように、林には、1打席1打席を大切にしていってもらいたいですね。

 また、打線でいくと小園海斗が止まりません。なによりも簡単に凡打しないという工夫が打席の中で見られます。バットになんとか当てるために、ノンステップ打法にしてみたり、逆方向へのイメージを持ったりと、いろいろと工夫しながら結果につなげています。

 以前、田中広輔も使って調子を上げてほしいと言いましたが、小園がこれだけ打っているのを見ると、疲れが見えるまで使ってもらいたいですし、おそらく首脳陣もそう考えていると思います。なので、小園には「へばってたまるか」という強い気持ちをもってプレーしてもらいたいですね。