7月2日から4日に行われた首位阪神との3連戦。初戦に勝利するも、2戦目に敗戦。流れを変えるきっかけとなったプレーをOBの笘篠賢治氏が振り返る。 

カープ・坂倉将吾選手(2021年・春季キャンプで撮影)

◆しっかりとした予測と準備ができていたか

 7月3日の阪神戦(マツダスタジアム)、敗因の一つとも言える、試合の流れを変えるプレーがありました。

 1点ビハインドで迎えた5回のカープの攻撃。坂倉将吾、林晃汰の連続安打で無死一、三塁とした場面で、野間峻祥が投手の横を抜ける強い当たりを放ちました。その打球を捕球したショートの中野拓夢が二塁を踏み一塁走者をアウトにすると、その後、本塁に送球し、三塁走者の坂倉もタッチアウト。結果的に併殺打となり、得点を奪えませんでした。

 このとき、三塁走者の坂倉には、打者がゴロを打てばスタートを切る指示が出ていたはずです。仮に投手ゴロになった場合は、塁間に挟まれ、後ろの走者の進塁を助けないといけませんし、ライナーでの併殺にも十分に気をつけないといけません。もちろんそれは、坂倉の頭の中に入っていたと思います。

 野間の打球はライナー性の当たりで投手の横を抜けたため、坂倉のスタートが一瞬遅れました。これは仕方ないのですが、問題はそのあとです。坂倉の視線が本塁と共に中野にも向き、中野のプレーを気にしながら走ったため、スピードに乗った走塁ができていなかったように感じました。

 ショートゴロになったことで、おそらく坂倉の頭の中に、本塁には投げてこないだろうという予測があったのだと思います。ただ、それは言い変えると、“油断”とも言えます。

 結果的に試合は0対5で完封負け。1点を追う、この5回の攻撃で同点に追いついていたら流れが変わっていたかもしれないだけに、勝敗を左右した坂倉の走塁だったと思います。

 ペナントレースの巻き返しを図るには、選手一人ひとりがベストを尽くすことが大前提です。この場面で坂倉は、リードの部分、打球が飛んだあとの走塁の部分で、予測と準備のもとベストのプレーができていたかを考えてもらいたいですね。スタートが遅れたという反省だけで済ませてはいけないと思います。失敗をいかに次に活かすことができるか、そこを意識して戦ってくれることを期待しています。