東京五輪で金メダルを目指す侍ジャパンのメンバーに、カープから12球団最多となる4選手が選出された。この連載では、侍ジャパンの4番として期待がかかる鈴木誠也が、過去に本誌の独占インタビューで語った思いを取り上げ、プロ入りからここまでの軌跡を振り返る。

 5回目となる今回は、プロ3年目の春季キャンプ中に行ったインタビューの後編。外野一本で挑戦する気持ちを固めた鈴木のレギュラー奪取に向けた熱き思いを紹介する。
(広島アスリートマガジン2020特別増刊号「鈴木誠也 全インタビュー集」に掲載)

ライトの守備練習に励む鈴木誠也選手(左)と野間峻祥選手(右)。

◆[一軍定着目前のインタビュー]あの悔しさをバネに(後編)

─守備についてお話をお聞きしたいのですが、昨季から外野を守る機会が増えてきました。

「二軍にいたときは内野の練習がメインで、外野の練習は少しだけという状況でした。なので正直、内野ではまだ通用しないという思いがありましたし、出るなら外野という気持ちがありました。でも、外野専門の先輩に申し訳ないなという複雑な気持ちを持っていました」

─今キャンプは、外野一本での練習を行っています。

「本音は内野手でいくのであれば内野一本、外野手であれば外野一本でやりたいですね。将来的には内野を守りたい気持ちはありますが、『今年は外野でいくぞ』と言われたので気持ちは固まっています」

─それはいつ頃言われたのですか?

「昨年11月に台湾から帰国した後に、緒方監督から直接『来年は外野でいくぞ』ということを言われました」

─外野守備で難しい面を感じますか?

「先輩方の守備を見ているとすごいなと感じます。打球判断も少しのミスが命取りになりますし、このキャンプは外野守備の意識を高く持って臨んでいます」

─昨季、ライトからの返球で強肩ぶりを見せつけました。外野を守る上でやはり肩は武器になるのではないでしょうか。

「細かい面はまだまだですが、自信があるとすれば確かに肩ですね。肩だけは先輩にも負けてはいけないと思っています」

─キャンプでは守備のみならず、走塁も重要視される練習が組まれています。

「相手の隙があれば、どんどん走っていきたいなと思っています。昨年はここで走らなくてもいいという場面で走って、ミスを犯したこともありました。チームに勇気を与えるような走塁をもっとできるようになりたいですね」

─走塁面でも高い意識が持てるのも、やはり昨季の一軍での経験が大きいのですね。

「正直、二軍で走塁ミスをしたときはここまで高い意識を持つことができていませんでした。一軍の試合独特の緊張感のなかで失敗を味わったことが大きいですね」

─厳しい練習が続きますが、今キャンプは気持ちの入り方が違うのではないですか?

「走攻守において自分の課題だけを潰していきたいです。もちろん毎日の練習はキツいですが(苦笑)、『今日はこれがダメだったから明日はこう試してみよう』と思えているので、毎日が充実していますね」

◆2013年から2020年に行った鈴木誠也のインタビューは、広島アスリートマガジン2020特別増刊号「鈴木誠也 全インタビュー集」で公開中。