ペナントレース前半戦の戦いを終えたカープ。巻き返しを図る後半戦への期待を感じた7月の試合を、カープOBの笘篠賢治氏が取り上げる。
◆ヤクルト戦の先制打をリードに生かし、完封リレーに貢献
打線は、粘り強さが出てくるようになりましたね。7月7日のDeNA戦では3点差を追いつき引き分け。翌8日の試合(DeNA戦)は3点差を逆転勝ち。ようやくカープらしい戦いができるようになってきたのではないでしょうか。
ただ、そんななか、9日のヤクルト戦は、9回に栗林良史ではなく、フランスアが投げて逆転サヨナラ負けを喫してしまいました。栗林を3連投させないという判断は分かりますが、8回に鈴木誠也が本塁打を放って逆転しただけに、流れを考えると、絶対に勝ちにいかないといけない試合だったと思います。カード頭でしたし、連勝して順位を上げていかないといけないチーム状況を考えると、少しもったいない感じがしました。
しかし、翌10日の試合(ヤクルト戦)では、その流れを引きずらない良い試合を見せてくれました。この日は解説で神宮に行っていたのですが、この試合で印象に残ったのは、2回の1死二、三塁の場面。8番の石原貴規が、ライト前に先制の2点タイムリーを放った場面です。
ヤクルト先発の原樹理に2球続けてツーシーム系の球をインコースに投げられ、それを見逃して2ストライク。そこから今度は、2球続けてアウトローにスライダー。どちらもボール球でしたが、4球目を上手く合わせて逆方向に運びました。
石原にとってはかなりきつい打席だったと思います。というのも、この打席は、球審がストライクゾーンを広めにとっていたからです。正直、ボールと言われてもおかしくないほどの厳しいコースで追い込まれてから、外の球にしっかりと対応できたのは高く評価してあげたいですね。
捕手として投手をリードする中で、立ち上がりから「この審判はここまでストライクをとるんだな」とある程度感じていた部分はあったと思いますが、あらためて打者として打席に入ったら、「えっ?」と驚いたはずです。
そして、その打席以降は、その審判の判定を配球に生かして、投手陣を完封リレーに導きました。捕手としての石原の成長が感じられた良い試合だったと思います。
その他にも、菊池涼介の代わりに出場した上本崇司が、2安打を放つ活躍をみせてくれました。こうやってレギュラーを休ませたとき、代わりに起用した選手がカバーできるというのは、今後の戦いでも大事になってきます。また、長野久義や松山竜平といったベテランもチームの支えになっていけているので、後半戦に向けて、チーム力は上がってきているのではないでしょうか。