◆必要ないと感じたら勇気を持って捨てる

 カープ入団当初から、西川には貫き通すと決めている思いがある。それは後悔しないために、情報の取捨選択の責任を自分自身で担うということだ。今シーズンの打撃の取り組みも、より高いレベルに適応するための覚悟の現れだ。

「周りからアドバイスをいただくこともありますが、良いと思ったものは取り入れて、自分に必要ないと思ったら勇気を持って捨てています。これだと決めたものだけを取り入れながらやっています」

 打順はチーム状況に合わせて、3番、あるいは4番を打つことが多い。いずれにしてもクリーンアップで同学年の鈴木誠也と並ぶこととなる。

「4番を打つ時は、相手も3番の誠也にはまともに投げてこないので、僕との勝負が増えてきます。チャンスで回ってくることが多いので、冷静にどうすれば得点を奪えるかを考えながら、平常心で打席に入るようにしています。3番の時は四球でもいいのでとにかく塁に出ることを考えます。自分がつなげば4番の誠也がきっと何とかしてくれますから」

 一軍には将来有望な若手が増えた。新戦力の台頭はチームが強くなっていく上で欠かせない要素となるが、上位に浮上するための絶対条件は、優勝経験があり、精神的にもチームを引っ張る主力選手の活躍だ。それだけに西川には、開幕から低空飛行を続けることが多かった打線を牽引し、勢いづかせることが期待されている。

「河田さんがヘッドコーチで帰ってこられ、足を使う攻撃が増えました。全てが成功するわけではないですが積極的に動くことは必要だと思います。相手チームにカープは何をしてくるか分からないと思わせることができたら得点機も広がってくると思っています」

 ペナントレースは折り返し地点を迎えた。この先も試合はまだまだ続くだけに、歯車が噛み合えば、勢いに乗る可能性は十分にある。

「今季は、最後まで離脱することなく試合に出て、そのうえで結果も残さないといけないと思っています。後半戦はファンのみなさんに勝利を届けていけるように、最後まで諦めず、チーム全員で戦っていきたいです。自分はとにかく打つしかない。それだけです」