東京五輪による中断期間に入ったカープ。カープOBの笘篠賢治氏に、前半戦を振り返ってもらい、巻き返しを図る後半戦の展望について話を聞いた。

前半戦、苦しい戦いを強いられた佐々岡真司監督。

◆4連勝で終えた前半戦に明るい兆し

 前半戦、30勝42敗10分けの5位で折り返したカープ。春季キャンプから取り組んでいた理想の野球がなかなかできず、攻撃陣はチーム打率が良いにも関わらず、得点につながらない試合が続きました。それが顕著に現れたのが、相手にリードを許した展開のとき。以前、逆転のカープと恐れられた粘り強さは影を潜め、追い上げられず負けてしまう試合が数多くありました。

 その要因としては、ランナーがいる場面での長打力不足があげられるでしょう。鈴木誠也が本調子になるまで時間がかかったことや、主軸として期待されていたクロンが長い間苦しんでいたこともあり、長打で一気に大量点を奪う攻撃ができていませんでした。1点1点、得点を積み重ねていくスモールベースボールの意識付けをキャンプからやっていましたが、やはり3〜4点をはね返そうと思ったら爆発力が必要不可欠です。鈴木に本塁打が出るようになってから、段々と攻撃陣に怖さが出てきたと思います。

 あと、中堅・ベテラン陣への期待が大きかったのか、佐々岡監督は、結果が出なくても、二軍で調整させるという選択ではなく、一軍に置き、我慢して状態が上がるのを待つことを選びました。しかし、結果的に一軍で復調とはいかず、堂林翔太の二軍降格にしても判断が遅くなっていたように感じます。選手のプライドなどを考慮した監督の気持ちも分かりますが、こればかりは裏目に出てしまったと言われても仕方ないでしょう。

 そういう状況に加えて、コロナの影響による離脱も重なり、投手も野手も、メンバー起用に頭を悩ませる時期がありました。そんな中で明るい材料が、小園海斗や林晃汰といった若手選手の躍動ですよね。活きの良い若手選手が、このチャンスを逃すまいと必死にプレーする姿が印象に残りました。

 五輪による中断期間前の試合を4連勝で飾ることができたのも大きかったですね。投打が噛み合い、点の取り合いになっても競り勝てるような勢いを感じる戦いができていました。特に最後の3つは大瀬良大地、九里亜蓮、森下暢仁で勝てたのは明るい兆しと言えます。

 状態の良い若手選手からすると、良い流れの中で試合が続いてほしかったと思います。ただ、この中断期間はプラスに考えてもらいたいですね。若手選手は、二軍とは比べものにならないほどのプレッシャーがかかる舞台で、自分をアピールしようと頑張ってきました。その上、連日蒸し暑い日が続いたことで、疲労は相当たまっているはずです。そういう意味でも、今回の中断期間はプラスに働くような気がしています。しっかりとコンディションを整えて、後半戦から勢いよくスタートを切って巻き返してもらいたいですね。