エキシビジョンマッチが始まり、後半戦に向けてスタートを切ったカープ。巻き返しを図るうえで大事になるポイントを、カープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

後半戦も主軸としての活躍に期待がかかる鈴木誠也選手。

◆若い選手たちに力がついてきたのは前半戦の大きな財産

 7月27日からエキシビションマッチ、7月28日からは東京五輪の野球競技が始まりました。いったんペナントレースはお休みとなり、8月13日から再開しますが、まずは最初のカードの阪神3連戦(京セラドーム大阪)が大事になってきます。

 阪神も首位独走とはいかず、必死になっている状況。この3連戦を勝ち越して、勢いに乗れるかどうか。おそらく阪神は、カープ戦に相性の良い西勇輝、秋山拓巳を先発に起用してくると思います。前半戦最後のカードでは、この天敵2投手にようやく勝つことができました。これを“たまたま”にしないように、苦手意識を完全に払拭したいところです。

 野手でいくと、侍ジャパンに選出された鈴木誠也と菊池涼介は、五輪が終わって休む時間もあまりない中でのリーグ戦再開となります。自国開催である今回の五輪は、相当なプレッシャーの中で戦うことになるだけに、懸念しているのは燃え尽き症候群です。ただ2人とも何度も国際大会に出場していますし、切り替えが上手なタイプだと思うので、きっと大丈夫でしょう。東京五輪に出場する4選手には、五輪での貴重な経験を、カープに還元してもらいたいところです。一つ大きいのは、自国開催なので時差がないこと。私も野村謙二郎らと一緒にソウル五輪に出場したとき、時差がほとんどなかったので、問題なく大学のリーグ戦に戻ることができました。

 カープの一軍に話を戻すと、エキシビションマッチがスタートし、例えるならば、今季2回目の開幕スタメンを勝ち取る戦いが始まっています。前半戦の最後を良い形で終えることができたので、おそらく大きなメンバー変更はないのではないかと思います。

 ただ、今回の五輪による中断期間は、どのチームも経験したことがないだけに、この時間があることで、ペナントレースに動きがある可能性はおおいにあります。3位のヤクルトまでは11ゲーム差ですが、まだまだチャンスはあります。そのためにも、後半戦のスタートから、猛ダッシュをかけないといけません。

 若い選手たちに力がついてきたのは前半戦の大きな財産となりました。ただ、1年間一軍で戦った経験がないだけに、まだまだ未知数な部分があります。そんな中で、松山竜平や堂林翔太など、期待されていた選手が、後半戦、どれだけ巻き返すことができるかに注目したいと思います。

 後半戦の打線のキーマンには西川龍馬をあげたいです。前半戦を終えて、打率.254、7本塁打、33打点と数字的に物足りなさがあります。鈴木が本調子に近づいてきた中で、西川に安定感が出てくると、カープ打線の印象が随分変わってくると思います。