後半戦に向けて、エキシビジョンマッチを戦うカープ。巻き返しを図るうえでのキーマンは誰か、カープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

復調に期待がかかる林晃汰選手。

◆1番打者として期待したい7年目の野間

 これまでのエキシビションマッチを見てのカープの状況ですが、安打数のわりに得点が少ないと感じています。今は勝ちにこだわるというよりも、選手個々の状態を上げる試合の進め方をしているので、なんとも言えない部分ではありますが、それが一番解消しないといけないポイントだけに気がかりではあります。

 先日、ロッテ3連戦(マツダスタジアム)が行われましたが、この3連戦は、チームとして学んだことがおおいにあったはずです。一つは走るということがどれだけ効果的かということ。ロッテとの戦いのなかで、足を絡めた攻撃が得点につながったとき、それが相手チームに嫌がられるというのを改めて実感したはずです。そうそう本塁打は出ませんから、足を武器にした攻撃がいかに重要かを、もう一度見つめ直す良い機会になったのではないかと思います。

 選手個人では野間峻祥が素晴らしいですね。7試合で20打数11安打。打ち方、ボールを捉えるポイント、しっかりと良い状態で打ち、その結果ヒットが出ています。これを後半戦も続けることができれば、1番打者として打線を引っ張ってくれるでしょう。

 また坂倉将吾も16打数8安打。捕手一本ではなく一塁手として出場が増えているのも、打撃に集中できる環境を与えたいという首脳陣の思いがあるのでしょう。前半戦の活躍同様、しっかりと好調をキープしてくれています。

 一方、調子を落としているのが林晃汰です。前半戦は打率.327、4本塁打、22打点とブレイクしましたが、エキシビションマッチでは25打数1安打と苦しい状態が続いています。

 積極的に打ちにいく姿勢は彼の持ち味なので続けてほしいのですが、問題は追い込まれてからの対応です。逆方向にも打てる柔軟さを持ちあわせていますが、ここ数試合は外の落ちる球に苦しんでいるように感じます。

 前半戦は、相手投手が手探りの状態で投げてくる感じもありました。結果を残し研究され始めたことで、後半戦は、追い込まれてからの外の落ちる球を相当使われると思います。そして、相手バッテリーは、その球を生かすため、踏み込ませないようにインコースの厳しいところに投げてくることが予想されます。しっかりと対策を練らないと、後半戦、エキシビジョンマッチの不調を引きずりそうな気配もあります。

 林の不調が続くとサードに誰を起用するかという話になってきます。そう考えると、田中広輔の状態が非常に良いです。今のチーム状態では、後半戦は、田中を起用した方が打線の流れは良いようにも感じます。将来を見据え、林を育てたいのであれば、使い続ける首脳陣の我慢も必要になってきます。そのあたりを後半戦までにどう判断するかにも注目したいですね。