8月、高卒3年目の羽月隆太郎と育成出身の3年目・大盛穂が、右手有鉤骨骨折の手術を受けた。今季、一軍での成長が期待されていた若手選手の離脱は、チームにとっても痛い出来事となった。2選手のケガがチームに与える影響、そしてリハビリ期間をどう過ごしていけばいいか、カープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

右手有鉤骨骨折の手術を受けた羽月隆太郎選手。

◆プラス思考でケガを乗り越えた選手は精神的にも強くなる

 右手有鉤骨骨折は、グリップエンドに手を引っ掛けて打つ選手は気をつけないといけないケガですが、2人ともそういうタイプではないと思うので、おそらく打つ際に違和感を覚えたのではないでしょうか。また、骨折まではいかないのですが、スライディングをするときに右膝を曲げて左足を伸ばす選手は右手を地面につけるので、そういうときに有鉤骨をぶつけて痛みが出ることもあります。

 2人と同期入団の小園海斗と林晃汰が、一軍で試合に出ているという状況だけに悔しい思いもあるでしょうが、焦らずにゆっくりと治してもらいたいですね。私も何度も怪我や手術を経験しましたが、野球をやりたくてもできないというのは何よりも辛いものです。そんなときにライバルたちがチャンスをつかみ活躍すると、悶々とした気持ちで過ごしてしまうこともあります。

 難しいとは思いますが、やってしまったことは仕方ないと割り切ることが大切です。復帰したとき、さらに高いパフォーマンスを見せられるように、鍛えられる部分をとにかく鍛えて、自分と似たタイプの他球団の選手のプレーを研究したりして、自分を磨いてほしいと思います。あとで振り返ったとき、「あのリハビリ期間があってよかった」と思えるような時間を過ごしてほしいですし、なによりも、プラス思考でケガを乗り越えた選手は精神的にも強くなります。羽月と大盛が、よりパワーアップした姿で帰ってきてくれることを期待しています。