逆転のAクラス進出に向けて負けられない戦いが続くカープ。後半戦の戦いでポイントとなる対戦カード、東京五輪に出場した4選手がもたらすチームへの影響力について、カープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

河田雄祐ヘッドコーチが目指す野球をどれだけ実戦できるかがポイントとなる。

◆後半戦逆襲の鍵を握る3位ヤクルトとの対戦

 後半戦、どのチームとの対戦も落とせないですが、特に大切なのはリーグ3位のヤクルトとの対戦ではないでしょうか。前半戦は2勝8敗2分で借金6。セ・リーグとの対戦成績を見ると唯一大きく負け越しています。逆転でのAクラスを狙うのであればヤクルト戦を確実にとっていくことが求められます。

 ヤクルトはカープとチームのタイプが似ています。そのなかで、今年のヤクルトはベテランと若手がうまく融合し、投打において機能している印象があります。シーズン開幕後に合流したオスナとサンタナの2人の外国人選手も、今では打線に欠かせない存在となり、2番に捕手である中村悠平を起用するなど、高津臣吾監督の思い切った采配もハマっています。

 カープの河田雄祐ヘッドコーチは、昨年までヤクルトでコーチをしていました。河田コーチの野球観をヤクルトはある程度把握しているため、しっかりと対策を練ってカープ戦に臨んでいるのではないかと思います。

 上位進出にはとにかく勝つしかないので、最低でも3連戦を2勝1敗ペースで勝ち越し借金を減らしていかないといけません。そのためにも、とにかく連戦の初戦を全力で奪いにいく意識を持ってプレーしてほしいと思います。

◆東京五輪の貴重な経験をカープに注入してほしい

 続いてカープから4選手が出場した東京五輪の話を。野球競技で見事に日本が優勝し、金メダルを獲得してくれました。プロ野球を代表して選ばれた24選手なのでもちろん個人の能力も大切ですが、国際大会で勝利するために大事なのは、チームとして戦えるかどうかです。その点、今回の日本代表は、稲葉篤紀監督がうまく選手をまとめていたと思います。また、選手は、試合に勝つことはこんなにも大変なんだということを東京五輪を通して、改めて実感したのではないかと思います。

 それを経験した4選手には、1試合に懸ける姿勢をチームに注入してほしいですし、その勝負に徹する姿勢を、この先以降もカープの伝統として引き継いでいってほしいと思います。日本代表の主力として活躍した4選手がその姿勢を見せてくれることで、チームのレベルは上がりますし、勝敗を分ける試合の分岐点に対する選手の意識も変わってくると思います。

 森下暢仁や栗林良吏はまだプロに入って年数も浅いですが、五輪での貴重な経験をもとに、チームを引っ張っていってくれることを期待しています。金メダルを獲得した日本代表に4人も選手が選ばれたわけなので、カープがチームとして秘めている力はまだまだこんなものではありません。後半戦、良いスタートを切って、Aクラスに肉薄する戦いをみせていってもらいたいですね。期待して見守りたいと思います。