往年の名左腕・大野豊氏がカープ投手陣の行方について語るコラム。今回は、いまだ後半戦白星がない、2年目の森下暢仁を取り上げる。※取材日は9月上旬。

後半戦に入り、勝ち星に恵まれない登板が続いている森下暢仁投手。

◆らしさが見えない森下。改めて下半身の意識を

 先発では大瀬良大地、九里亜蓮が投手陣を引っ張ってくれています。しかし9月に入り、森下暢仁は、少し疲れが見える投球が続いています。

 体と球のキレ、制球を含めて、今までの森下らしさが見られません。加えて、やや四球が増えている印象もあります。個人的には1回休ませてもいいのではないかと思います。森下自身も、勝てない時は自分の状態をちゃんと把握することが大切です。

 体のキレがないと感じたら、ショートダッシュを増やす、下半身の使い方を意識する、粘り強く長く球を持つなど、下半身主導で投球するイメージを持ってほしいところです。

 投手心理から考えると、自分の状態が悪い、球が走っていないと感じると、投げる時に無駄な力が加わり、上体に力が入りやすいものです。そういった状況になると、コントロールミスや故障にもつながります。下半身を意識したフォームの中でしっかり腕を振るというようなイメージが大切です。

 残り試合を考えると、なかなかAクラス入りは遠いのが現状です。しかし順位がどうこうというより、目の前の試合を、出場する選手が、しっかりと役割をこなし、チームとして機能して勝つということが大切です。幸いにも、今のチーム状態を見ると良い雰囲気を感じます。打つべき人が打って、投げる人がしっかり投げて勝つ。1試合でも多くそのような試合を見せてほしいと思います。

 選手として、チームとして、みんなが満足するような試合、ファンの方々も満足できるような試合を増やしていくということが、今後につながりますし、1つでも上の順位へとつながっていくことでしょう。