◆40歳というのを言い訳にしたくない

―朝山選手は40歳ですが、昨シーズンの出場時間は1試合平均で26.1分。バリバリの主力です

辻選手:考えられないですよ。僕からすると“40歳で普通にやっている”時点で特別です。スポットで3ポイントシュートも打てるし、(ゴール下に入って)2ポイントでレイアップにももっていける。得点を取ることができるからこそ、昨シーズンのプレータイムが長かったんだと思います。

朝山選手:僕が今の辻と同じ年齢だった頃の能力を(辻は)すでに超えています。だから、そんなふうにいわれてもしっくりこないです(苦笑)。辻はすごくスマートで、バスケットIQの高い選手です。他の選手は辻を見て「こういうふうに長く現役をやりたい」「こうやるから成功する」といったことを感じてほしいですね。

―辻選手の加入を聞いたとき、どんな思いを持たれましたか?

朝山選手:お金いっぱいもらってるのかなぁ~(笑)

辻選手:爆笑

朝山選手:っていうのは冗談ですけど、すごく嬉しかったです。移籍はご縁だと思っているので。親会社であるNOVAから多大なサポートを得ているのは間違いないですけど、だからといって簡単に選手が集まってくるものではないですから。チームに携わっているみんなが苦労をしてきた中で、Bリーグの顔になっている選手が来てくれた。僕も、いろんなものを背負ってきたつもりですが、誰かに何かを引き継ぎたいとずっと思っていました。ようやく実力も思いも背負ってくれるキャパシティを持った人間が来てくれたと思っています。

―「ライバルが来た」という危機感をお持ちかと思っていました

朝山選手:それはないですね。コートに立てば、辻だけでなく、誰とでもフラットに競争しながらやっていきたいというのは、これまでと変わりません。一番は、顔となってくれる選手が来てくれたワクワク感、嬉しさがありますね。チームにとっても色んなことが変化するきっかけになると思います。僕個人でいくと40歳というのを言い訳にしたくないし、練習もできる限り、同じようにやりたいと思っています。

―辻選手は実業団時代から9シーズン、同じチームにいました。チームを変えるのは大きな決断だったと思います

辻選手:バスケットをもっとうまくなりたいという気持ちがありました。理想のプレイヤー像に近づけるチームが広島ドラゴンフライズでした。贅沢な思いかもしれませんが、自分が勝敗に関わる立場でいたかったんです。もちろん、コートに立っている5人、ベンチも含めたチーム全体で戦うことが大切ですが、それを背負いたいというのが一番でした。去年は(川崎ブレイブサンダースで)天皇杯で優勝しましたが、自分の納得がいく仕事はできていませんでした。もちろんどんな優勝もチームの力があってこそですが、もっと違う思いに満たされて優勝したかったという気持ちがありました。「このままでいいのか」と思ったのが移籍のきっかけです。

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【朝山正悟・Shogo Asayama】
1981年6月1日生、神奈川県出身。ポジション:SG(シューティングガード)/SF(スモールフォワード)。192cm、88kg。早稲田大学を卒業後、日立サンロッカーズ(現・サンロッカーズ渋谷)、オーエスジーフェニックス(現・三遠ネオフェニックス)、アイシンシーホース(現:シーホース三河)などを経て、2015年から広島ドラゴンフライズに加入。昨シーズンまでキャプテンとしてチームを引っ張ってきた。

【辻直人・Naoto Tsuji】
1989年9月8日生、大阪府出身。ポジション:SG(シューティングガード)。185cm、82kg。青山学院大学から東芝ブレイブサンダース(現:川崎ブレイブサンダース)に入団すると、1年目から主力として活躍。この年のルーキーオブザイヤーを獲得すると、それ以降もプレーオフMVP・ベスト5などのタイトルを受賞した。2013年には日本代表に初選出。2021年に広島ドラゴンフライズに移籍した。

【広島ドラゴンフライズ】
広島市を本拠地として2013年に設立されたプロバスケットボールクラブ。「広島に、バスケでつながる風景を。」をクラブスローガンとして掲げ、地域に根差したクラブづくりをしている。チーム名「広島ドラゴンフライズ」は、日本では宮島にのみ生息している“ミヤジマトンボ”に由来。古来より、トンボは、前に飛んで決して後ろに下がらない勇猛果敢な「勝ち虫」と言われ、勝利を呼ぶ縁起の良い虫とされている。昨季Bリーグ設立4季目にして、初の1部昇格を果たすも西地区最下位に終わった。今季は巻き返しに向けて、大幅な戦力補強を実施。生まれ変わったチームの躍進に期待が集まる。