カープOBの笘篠賢治がカープ野手陣を徹底分析するコラム。今回は、3連敗を喫したヤクルト3連戦(10月1日〜3日)の戦いを取り上げる。

今季41試合に登板している島内颯太郎投手。

◆リリーフ投手の継投に違和感

 9月28日からの阪神3連戦に3タテし6連勝と勢いに乗っていたものの、そこからヤクルトに3連敗。今季は完全にヤクルトにやられていますね。これでヤクルトとの対戦成績は5勝14敗3分。特にホームのマツダスタジアムでは1勝9敗1分。ヤクルトの野球を良く知っている河田ヘッドコーチがいるだけに、もっと対策を立てることができたのではないかという思いもありますね。

 3連敗にはなってしまいましたが粘りは見せてくれました。ただ、投打のバランスが悪いですね。気になったのは投手起用です。普段はあまり投手については触れてこなかったのですが、10月3日のヤクルト戦で引っかかるポイントがありました。

 カープは現状8回を任せる投手が決まっていません。3日の試合は、1−1と同点の8回に島内颯太郎を起用しましたが、1死一、三塁のピンチを招き中村悠平を迎えるという場面で森浦大輔に交代。結果、勝ち越しを許してしまいました。

 島内は1日のカード初戦に中村に決勝打を打たれています。それもあり交代させたのかもしれませんが、弱気にならずに「やり返してこい!」と最後まで投げ切らせてほしかったなと感じました。打者からすると、あの場面は三振を狙ってくる投手が嫌だと思うんです。島内は三振がとれる投手だけになおさらです。

 このイニングは島内に任せて、壁を乗り越えさせて自信をつけさせるという、試合の中で育てようとするベンチの姿勢を見せてほしかったですね。

 そして、あの場面で投手を代えるのであれば、そのイニングの先頭の山田哲人に右投手、続く村上宗隆に左投手といったように、一人一殺の割り切った起用をするのも、一つの方法だったでしょうね。絶対に無失点に抑えて、その裏の攻撃につなげるんだという雰囲気を、投手起用を通して示してほしかったなと思いました。

 ヤクルトは先発要員の田口麗斗をワンポイントリリーフでも起用するなど、積極的な継投をみせています。そういう部分に戦い方の差を感じると共に、カープもそこができるようになれば、3連覇の頃のような逆転劇が増えてくるのではないかと思います。