2021年ドラフト会議が10月11日に行われる。今季苦しい戦いを強いられているカープは一体どんな選手を指名するのか注目される。未来のカープを支える選手発掘の過程の中で、これまでカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間のカープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は今季一軍で存在感を見せている高橋昂也、床田寛樹、坂倉将吾を獲得した2016年のドラフトに触れていく。

投手中心となった2016年のドラフト。野手で唯一指名された坂倉将吾は今季ブレイク中。

 この年のドラフトでカープは最初の1位指名で共に5球団が重複した田中正義(現ソフトバンク)、2度目の1位指名では佐々木千隼(現ロッテ)を抽選で外すなど軌道修正を余儀なくされた。3度目となった1位指名で加藤(現・矢崎)拓也(慶應義塾大)の交渉権を獲得。圧倒的な打撃力で25年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた直後のドラフトとなった2016年は、即戦力投手の1位指名にこだわった形となった。

 2位では『高校BIG4』の一角である花咲徳栄高の左腕・高橋昂也の獲得に成功。3位は加藤と同様に1年目からの活躍を見込んで、左腕の床田寛樹(中部学院大)を指名した。入団後は共にトミー・ジョン手術を受けることになり、多くの時間をリハビリに費やしたが、両投手そろって故障を乗り越え、今シーズンは一軍の先発ローテーションとして必死のアピールを続けている。

 下位では将来の正捕手候補として、打撃力が魅力の坂倉将吾(日大三高)を獲得。プロ1年目から二軍で85安打を放ち、一軍昇格も経験するなど、早くからその才能を見せつけた。その後は苦戦しながらも、今シーズンは完全に一軍に定着。一時は首位打者に立つなど、成長の跡を見せつけている。

 また、線が細く投球技術も荒削りながら、将来性を高く評価されたアドゥワ誠(松山聖陵高)は5位指名で入団。プロ2年目の2018年には一軍で中継ぎとして53試合に登板するなど、優勝に貢献する働きを見せた。

 結果的に2016年ドラフトでは5投手、捕手1名の指名で終了。育成ドラフトは前年に続き、指名は見送られた。

【2016年 カープドラフト指名選手】
1位:加藤拓也(慶應義塾大・投手)※現・矢崎拓也
2位:高橋昂也(花咲徳栄高・投手)
3位:床田寛樹(中部学院大・投手)
4位:坂倉将吾(日大三高・捕手)
5位:アドゥワ誠(松山聖陵高・投手)
6位:長井良太(つくば秀英高・投手)