◆とにかく楽しむことが大事。これがポリシー。
「楽しくなければ女子野球じゃない。女子野球の選手たちが思いっきり楽しんで野球をしている姿を見るのが、私は大好きなんです」
大会初日の開会式、笑顔でそう発言していたのは、一般社団法人全日本女子野球連盟の代表理事である山田博子氏だ。
【SAH】一般社団法人全日本女子野球連盟 代表理事 山田博子氏コラム
山田氏はアメリカの大学に留学後、日本で通訳として活動を開始。その後スポーツエージェント会社でアスリートマネジメント等を担当し、2004年に日本で開催された女子野球の国際大会で通訳を依頼されてから、女子野球との関わりが始まった。現在は一般社団法人全日本女子野球連盟代表理事のほか、世界野球ソフトボール連盟野球部門理事など、野球界をさまざまな形で支え続けている。
「女子野球に携わり始めた当初は、球場も貸してくれないし、誰も振り向いてくれないし、今大会のように地元の多くの企業の方に協賛してもらえるなんて考えられなかったんです。トイレもないような河川敷でやって、最寄りのコンビニに直接交渉してトイレを借りるような時代だったので、不思議な感覚というか。球場入口のところからみなさんが寒い中笑顔で迎え入れてくれたのが、すごくありがたいです。私や連盟だけじゃなくて、チームの監督さんやみんなも本当に頑張ってきてよかったなと感じました」
長く女子野球界を見つめているからこそ、「第7回女子硬式野球西日本大会」の演出と盛り上がりを誰よりも喜んでいる。そして“女子野球にしかない華やかさ”を楽しみながら発信していこうという強い考えがある。
「私自身が野球を経験してないので、大切にしなければならない伝統はリスペクトしつつ、時代にあった新しい女の子ならではのスタイルもあっていいんじゃないかと思っています。最低限のルールは必要ですが、不必要なルールは基本的には設定しないというポリシーです。なので、競技に影響がなければ、ヘアバンドしたり、ネイルをしている子もいます。ユニフォームをおしゃれなデザインにしたり、選手によってはアイラッシュをしている子もいたり、バットのグリップテープもキラキラの可愛らしいテープにしたりとか。自由に、“とにかく楽しみましょう”というのがポリシーの根底にあります」
今大会は女子野球を盛り上げるために、会場の飾りつけ、音響など、これまでの女子野球大会とは一味違う演出が特徴的だった。しかし、女子野球が世間的に普及するまでの道のりはまだまだ続いていく。
「競技団体としてまずは基盤の整備ですね。あとは選手が輝くためのきらびやかな舞台をたくさんつくってあげたいです。“私は女子野球をやってるんです”と言ったら、“すごいね”と言ってもらえるような環境づくりですよね。そして、当たり前のように女子野球があちこちで見られるような世界をこれから作っていかなければと。そこは私たちの努力と責任だと思っています」
女子野球タウンとしての歩みをスタートした三次市を舞台にした2日間。選手、アンバサダー、一般社団法人全日本女子野球連盟代表理事と、それぞれの立場で大会に関わった女性たちの表情は、終始笑顔が弾けていた。