◆今大会は女子野球を盛り上げるチャンス

 昨年12月、広島県からは今大会が開催された三次市、そして廿日市市の2市が女子野球タウンに認定され、広島県は「好きじゃけん 女子野球 広島県!」をスローガンに掲げ、女子野球をキーワードに地域活性化に向けた活動を進めている。

 そして、一般社団法人全日本女子野球連盟は令和3年4月に広島県・中四国女子野球アンバサダーとして、元広島東洋カープの選手でベースボールクリニックコーチを務める浅井樹氏と、かつて女子プロ野球選手として活躍し、女子硬式野球西日本大会の発起人であり、MSH医療専門学校女子硬式野球部の部長も務める野々村聡子氏の2名を任命した。

【SAH】MSH女子硬式野球部部長 野々村聡子氏取材記事

中四国女子野球アンバサダーの野々村聡子氏。MSH医療専門学校女子硬式野球部の部長を務める

 長年女子野球に携わる野々村氏は「今大会は7回目ではありますが、三次市と広島県に協力して盛り上げていただいているので、初めて開催した時のような緊張感があります」と今大会の盛り上がりを新鮮に感じながらも気を引き締めていた。

「女子野球関連で何か始めたり盛り上げていくには、まさに今だなと思っています。私が高校生のときには、広島県にチームが一つもなかったのですが、今は全国的にも増えてきているのでとても感慨深いものがあります」

 野々村氏は学生時代、野球を続ける環境を求めて奈良教育大学に進学。そして女子の社会人クラブチームである大阪BLESSでプレー。大学卒業後には女子プロ野球の兵庫スイングスマイリーズで内野手として活躍。その後、MSH医療専門学校女子硬式野球部の立ち上げにも尽力した。

「これから女子野球をさらに盛り上げていくには、課題がたくさんあると思っています。女子野球がこれまでに比べ普及してるとはいえ、まだまだ知らない人たちもたくさんいらっしゃるので、一人でも多くの人にまず女子野球の存在を知ってもらう活動にしっかり取り組みたいです。」

 全国的にチーム数が少ない時代から選手として女子野球に携わってきているだけに、今大会の盛り上がりを今までにないチャンスと捉えている。

「華やかさとか、女性らしさという部分が女子野球にはありますよね。今回、良い環境でプレーさせていただけることになり、本当に楽しそうに思い切りプレーできる喜びを野球で表現すること。これは女子野球特有のハングリー精神が起こす特徴だと思います。だからこそ、感謝の気持ちを持っている選手が多いと思います。そういう部分を見てもらいたいです。“女子でもこんだけ野球ができるんだぞ”とか、“こんなに野球好きな女の子たちがいるんだよ”とか、“こんなに必死に取り組んでるんだよ”という真剣さも含めて見てもらいたいなと思います」

大会2日目には人気芸人・南海キャンディーズのしずちゃんがゲストとして駆けつけた

 アンバサダーとして2日間、忙しく動き回っていた野々村氏の表情は充実していた。そしてもう一人、今回の大会を見守る、女子野球界を支え続けてきた女性がいる。