カープの鈴木誠也(27)がポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明した。6年連続打率3割・25本以上を記録したNPB屈指のスラッガーを巡って、メジャー複数球団による争奪戦が予想される。

2016年、試合前の練習に励む鈴木誠也選手。

 ここでは、日本を代表する打者へ成長するまでの鈴木のプロ9年間の軌跡を辿る。今回はプロ4年目の2016年、3試合連続決勝本塁打と「神ってる」活躍直後に行ったインタビューの後編をお送りする。

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─今季は開幕前にケガで離脱されていました。リハビリ中はどんな気持ちで過ごしていましたか?

「本当に情けないと思っていました。今は『絶対にケガをしない』という気持ちが以前よりも強くなっていますし、これまで以上に体をケアするということに関しては気を使うようになりました」

─4月5日に一軍復帰して間もなくは、なかなか結果が出ない日々が続いていましたが、不安はありましたか?

「不安は特にありませんでした。ただ毎回打席に入る度に『何だこの打率は』と思って悔しかったですし、『なんとか変われないか、一つ殻を破れないか』と思いながら、ずっとモヤモヤしていました」

─今季から一軍では打撃コーチが3人体制ですが、鈴木選手自身プラスになっているところはありますか?

「打撃コーチが3人だからといって特に堅苦しいという感覚はありません。特に琢朗さんからは遊び感覚の中から、いろんなアイデアで練習方法を出してくれるので分かりやすいです。いつも『自分でやってみて、良いと思ったらやってみろ』と言われています。各コーチともすごくコミュニケーションが取れていると思います。今はまだ自分にどんな練習法が合っているかが分からなくて、いろいろと模索中です」

─5月以降、鈴木選手は打撃好調をキープされていますが、昨季と技術的に変わった部分があるのでしょうか?

「今まで打撃練習でも、自分の打てるゾーンしか待っていないことが多くあったのですが、結局それが試合で生きていませんでした。試合では相手投手も全力で抑えにきますし、いろんなゾーンに球がくるので、ボール球を振ってしまうこともあります。その中でヒットを打たなければいけないので、今まで全く意味のない練習だったのかなと思います。今季は東出(輝裕・一軍打撃コーチ)さんから『練習の時から、自分の打てるゾーンから球が1個2個分離れていても、とにかく振ってアジャストしていけ』と言われています。それから高めなどを振りにいって、自分の感覚だったり、良いバットの出し方だったり、そういうことが練習で自然とできるようになってきて、試合でも良いスイングができるようになってきたんだと思います」