1982年6月22日生、東京都出身/180㎝・102kg/新日本プロレス所属。市民球場で写真を撮りまくった内藤選手だが、当時の携帯電話での撮影だったため画質が……(笑)。というわけで今回は旧市民球場近くにある広島城での写真をお届け!

始球式の最中に考えていたこと

 マツダスタジアムに初めて行ったのは2010年でした。マツダスタジアムがオープンした2009年は海外遠征に行っていたんですけど、現地でもインターネットでいろいろとマツダスタジアムの情報は調べていました。写真とかで見たらすごく立派でキレイだし、海外にいながら「早く行きたいな」って思っていました。

 それで実際に初めて行ったときは、まずコンコースがあって球場内を1周できることに驚きました。あとマツダスタジアムは、座席の色が赤ですよね。昔から赤が好きなオレとしては、それもまたテンションが上がる材料になりました。とにかく市民球場とのあまりの違いにビックリしたし、あまり日本にはない球場の造りにワクワクしましたよ。

 最近はマツダスタジアムの中に入れていただくことも多いですけど、グラウンドの土の部分は足を踏み入れちゃいけないんじゃないかっていう気持ちがあります。プロレスラーにとってリング上が神聖な場所であるように、グラウンドの土の部分はプロ野球選手だけが足を踏み入れられるところっていうか。自分のなかで、ファンが入ってはいけないんじゃないかっていう線引きをしている感じです。

 だからマツダスタジアムに行っても、ベンチには入れていただいても、土の部分にはできる限り入らないようにしています。1歩、2歩ぐらいは足を踏み入れたことはありますけど、本当の意味でグラウンドの中に足を踏み入れたのは、始球式(2017年8月27日、中日戦)のときが初めてでした。

 始球式のときは3万人以上のお客様が球場に詰め掛けていましたけど、とくに緊張をするようなことはなかったです。3万人以上のお客様に見られることは、新日本プロレスでは年に一回の東京ドーム大会ぐらいしかないですけど、でもお客様との距離という点ではプロレスほど近くないので、緊張はしませんでした。むしろ、選手たちからスタンドはこう見えているんだなとか、これだけ多くのお客様の前でプレーするのは気持ちいいだろうなって、けっこう冷静でしたね。

 緊張はしなかったんですけど、でもあのときの先発の岡田明丈投手、守っている野手の方、あとベンチからの視線はすごく気になりました。こっちのテンションは上がっていますけど、試合を控えている選手たちからすれば、正直、始球式を見ている場合ではないですからね。「オレが逆の立場だったら、どう思うのか?」ということを考えて、あのときは「早く始球式を終わらせなきゃ」っていう気持ちでしたよ。プロレスでは対戦相手、お客様に対して「あっせんなよ」って言っていますけど、あのときばかりはさすがに焦っちゃいました(笑)。

 その焦りが出てしまったのか、投球は左バッターの内角高めに大きく外れてしまいました……。仮にも野球経験者として、あまりにも情けない投球でショックでしたね。また始球式をやらせていただけることがあれば、今度は焦らずにストライクを投げ込んでみせますよ(ニヤリ)。 

 では、今回はこのあたりで失礼させていただきます。次の連載まで、トランキーロ…あっせんなよ!