思わず心を奪われる、美しい放物線を描く本塁打は、希望に満ちたカープの未来を予感させてくれる。4番候補の一人と呼ばれる林晃汰にとって、今季はレギュラー奪取に向け、勝負の一年となる。決して器用な選手ではない。泥臭くガムシャラに野球に取り組む若きスラッガーが思い描く未来図とは。（全3回のうち2回目・取材は2022年2月上旬）
◆フルスイングをしなくても打球を遠くに飛ばす
（1回目から続く）
─昨年は5月中旬に一軍に昇格すると、それ以降、サードに定着。打ってはプロ初本塁打を含む10本塁打を放ちました。球を飛ばす力においては高校時代から評価も高かったと思いますが、林選手が考える理想の本塁打の軌道はありますか？
「そうですね……。どんな軌道であったとしてもスタンドに入れば本塁打なので、スタンドインする打球を打つことが理想です。もちろんイメージしている軌道はありますが、まだうまく言葉で言い表すことができません」
─本塁打を含めた長打を増やすために、普段の打撃練習からどんなことを意識していますか？
「心がけているのは、バットに球が当たったときの角度です。コンタクトの瞬間に角度をつけることができれば、自然と良い打球が飛んでいくと思っています。理想をあげるなら、フルスイングをしなくても打球を遠くに飛ばすことです。まだまだ全てにおいて足りないものが多いと思いますが、日々の練習を通してレベルアップしていきたいと思っています」
─逆方向に強い打球が打てるのも林選手の持ち味です。
「逆方向は強く意識しているわけではありません。打撃のアプローチをしっかりして、結果として、良い打球が逆方向に飛ぶのが理想ですね」
─レギュラーとして出場するためには打率を残すことも大切です。その点で意識していることはありますか？
「昨年、対左投手の打率が良くありませんでした（打率.237）。一軍で打った10本の本塁打も、全て右投手からです。左投手が相手でも結果を残すことは課題だと思っていますし、そのためには、左投手に苦手意識を持つことなく打席に立てるようにする必要があると思っています」（続く）
◆林晃汰（はやし こうた）
2000年11月16日生（21歳）／和歌山県出身／182cm・101kg
右投左打／内野手／智弁和歌山高ー広島（2018年ドラフト3位）
