思わず心を奪われる、美しい放物線を描く本塁打は、希望に満ちたカープの未来を予感させてくれる。4番候補の一人と呼ばれる林晃汰にとって、今季はレギュラー奪取に向け、勝負の一年となる。決して器用な選手ではない。泥臭くガムシャラに野球に取り組む若きスラッガーが思い描く未来図とは。(全3回のうち1回目・取材は2022年2月上旬)

左の長距離砲として4年目の林晃汰にかかる期待は大きい。実戦で結果を残し、4番への挑戦権を獲得したいところ。

◆4番打者に近づくため、今年は実力で試合に出たい

─レギュラー奪取に向けて大事な一年が始まりました。どんな気持ちで春季キャンプを過ごしていますか?

「昨年は試合に出してもらったシーズンだと思っているので、自分の力で試合に出るためにはレギュラーに定着する必要があります。そのためにも成長した姿を見せたいという気持ちでキャンプに臨んでいます」

─林選手のポテンシャルを考えると、鈴木誠也選手が抜けた穴を埋める4番候補としての期待も大きいです。

「自分の中で打順にこだわりはないので、まずは試合に出場することが一番の目標です。一軍に定着し、毎試合打席に立つことに関しては、こだわっていきたいと思っています」

─昨年は4試合で4番を経験されました。4番として初めて出場した6月22日のヤクルト戦(マツダスタジアム)では2安打を放つも、翌日から3試合連続無安打。4番を打ったという経験は林選手の中でどう活きていますか?

「悔しさもありますが、一軍の試合で4番として出場するのは、誰もができることではありませんから、良い経験をさせてもらえたと思っています。やっぱり4番は特別だと思うので、そこを目標にやっていきたいです」

─目標にしたいと言われましたが、林選手が思い描く、理想の4番打者像を教えてください。

「チームから信頼される打者です。打ってほしいときに結果で応える、そういう打者になりたいですし、それが4番打者だと思います」(続く)

◆林晃汰(はやし こうた)
2000年11月16日生(21歳)/和歌山県出身/182cm・101kg
右投左打/内野手/智弁和歌山高ー広島(2018年ドラフト3位)