◆カープの名ショート、野村謙二郎との忘れられない思い出

 野村とは学生時代から縁があって、忘れられないエピソードがあります。

 大学時代に日米大学野球に参加していたとき、彼は死球を顔面に受けて大変な状況になったことがあったんです。バッター心理としては、恐怖心が残ってしまいそうですが、彼は強靭な精神力と回復力でもう一度代表メンバーに復帰して、左投手に対しても恐れず踏み込んで打ちにいっていました。このとき正直『この精神力の強さはなんなんだ!』と感じたものです。大学時代、彼は駒澤大、私は中央大、プロではカープとヤクルトで対戦を重ねました。彼は僕をライバルとは思っていないでしょうが、私は『謙二郎があそこまで頑張っているのなら、俺も頑張らないといけない!』という気持ちでプレーしていました。

 小園は現在、引っ張ってくれる先輩選手がいて、必死についていくというところもあると思います。ですが、少しずつマウンドの投手に声かけするシーンも増えてきているように感じます。かつての野村のように、カープのショートといえば、やはりチームリーダーというイメージがあります。プレーだけではなく、人間性も含めて、普段の行動も意識しながら野球を勉強し、優勝を勝ち取ったときにショートを守っていてほしいですし、リーダーになれる素質は十分にあると思います。将来的には、3番を打てるようなショートになることを期待したいです。

 今季は経験も実績もある秋山翔吾が加入しましたが、野間峻祥、坂倉将吾、そして小園ら左バッター陣の踏み込みが非常に良くなっているように感じます。秋山という生きた教材が目の前にいるわけですから、しっかりと良いものを学んでほしいです

  ペナントレースも後半戦に入り、セ・リーグも厳しい戦いが続いています。カープは後半戦開始から連敗が重なっていましたが、私がヤクルトで優勝を経験した1992年は、9連敗しても最後は優勝をすることができました。勝負事は何が起こるか分かりません。チーム一丸となって、最後の最後まで戦い抜いてほしいものです。