1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。 

 第1回目の特集は、黒田博樹のインタビューセレクション。

 広島とニューヨーク、ふたつの街に愛された男、黒田博樹。揺るぎない信念と覚悟を胸に、日米で活躍したその足跡は、今なお多くのアスリート、ファンの心に残り続けている。過去、広島アスリートマガジンに掲載された独占インタビューを再構成し、黒田博樹さんの言葉に込められた思い、生き様を改めて紐解いていく。

 黒田が8年ぶりにカープに復帰した2015年、広島と全国が沸いた。カープ復帰後、本誌初のインタビューでは、久々の日本球界、進化した自身の投球スタイルなど、さまざまな考えを語った。

マツダ スタジアムのマウンド上で気迫のガッツポーズ。この翌年、チームは25年ぶりのリーグ優勝を果たした

◆カープ復帰は新たなチャレンジ

— カープファンについてですが、公式戦初登板の日はものすごく大きな声援がありました。

黒田 それだけファンの人に迎えられてマウンドに上がるということは、本当に幸せなことだと自分でも思いました。実際そのマウンドに上がって、球場の雰囲気を味わうことができて、本当に帰ってきて良かったなと思いましたね。

— 黒田投手が思われていた想像以上の歓迎ぶりでしたか?

黒田 そうですね。自分では試合のときに限らず周りが思った以上の歓迎ぶりだったので、そういう意味では戸惑いがありました。

— 敵地でもカープファンが多く、8年前とは違った雰囲気を感じるのではないでしょうか?

黒田 やっぱり僕がいた頃とは球場の雰囲気も違いますし、カープファンの熱の入れようは全然違うと思います。一野球人として、それだけファンの人に応援されてグラウンドに立てるというのはすごく幸せなことだと思いますし、そういう部分ではやりがいもあるし、うれしいことですよね。

— 久しぶりに日本のバッターと公式戦で対戦してイメージが違う、変わったなと感じられることはありましたか?

黒田 もう8年も前なので、イメージというのもなくなりつつありました。なので僕のなかでは〝新しい野球に対するチャレンジ〟という気持ちでいたので、あまりイメージというのは自分のなかで持っていなかったですね。

— イチからのチャレンジという感じですか?

黒田 同じ野球なんですけどやっぱり一つひとつ挙げれば、自分のなかでの変化っていうのは絶対あるはずですし、それに一つひとつ自分でアジャストしていく作業をしていかないと、アメリカでやってきたことを日本でそのままやって結果が出るかというと、なかなか難しいものだと思います。