10月12日に新井貴浩が新監督に就任するなど、来季に向けて新たなスタートを切ったカープ。来季のチームを考えていくうえで、4年連続Bクラスに終わった今季の振り返りも大事になってくる。ここではOBの笘篠賢治氏に今季のカープ野手陣について語ってもらった。
◆右の大砲を育てていくことが来季の課題
今回は今季のカープ野手陣について振り返っていきたいと思います。
まずは野間峻祥。規定打席には到達できませんでしたが、85試合で打率.312と安定した成績を残し、レギュラーとして認められる選手になりました。
国内FAのこともありますが、残留前提で話すと、来季の課題としてチーム盗塁数が26個というところはクローズアップされると思うので、ここを解消しようとなるはずです。なので、来季も一番打者は野間でいくことになるのではないでしょうか。
同じく国内FAが注目されている西川龍馬もコンディション不良で約2ヶ月ほど離脱していましたが、西川が打線にいるといないでは攻撃力が大きく変わっていました。
坂倉将吾も中心選手と呼べる存在になりました。143試合に出場して打率.288、16本塁打、68打点。数字的なところで言うと、まだまだ本人も満足していないでしょうし、打率3割に加えて、もう少し本塁打数もほしいところではありますが、相手が嫌がる打者になりました。
他球団のOBからは捕手・坂倉を推す声をよく聞きます。會澤翼を二番手捕手に置いて、坂倉を捕手一本でいくのか。もし捕手メインでいくとしたら、三塁との併用はちょっと難しいかなと思うので、割り切りが大事になってきます。
そして、今季を振り返る上でふれずにはいられない選手が上本崇司です。内外野をこなして、チームを何度も助けてくれました。控え選手という存在からレギュラーと呼べる存在まで成長し、最終的に94試合に出場して打率.307。2年続けて結果を残す難しさはあると思いますが、来季も存在感を見せてほしいですよね。
コロナ禍での入国制限で来日が遅れたマクブルームも128試合に出場して打率.272、17本塁打、74打点と1年目から中軸打者として活躍してくれました。欲を言えば、もう少し長打がほしいところではありましたが、フォアザチームの精神でつなぎに徹してくれました。コンタクトも上手ですし、冷静にボール球に手を出さずカウントを整えて打ってくれる。そういうところも評価できる選手です。チームにもしっかり溶け込んでいましたし、来季もカープでプレーしてくれることを願います。
小園海斗も開幕してからしばらくは打撃不振に苦しんでいましたが、最終的には127試合で打率.266と巻き返してくれました。遊撃手のレギュラーとしては、守備に関してはもちろん、打撃に関しても状況に応じた打ち方がもっとできるようにならないといけないなど課題はたくさんあります。それでもよく頑張ってくれました。
菊池涼介が春季キャンプから守備でアドバイスを送っていた若手たち、羽月隆太郎もそうですし、矢野雅哉、韮澤雄也なども光る部分を見せてくれました。そういった部分を含めて、見本を示してくれた菊池の目に見えない影響力も評価してあげたいです。秋山翔吾の獲得にも貢献してくれたみたいですしね。
秋山自身はシーズン途中からの日本球界復帰というところで、調整にも時間がかかったと思いますし、状態も万全とは言えませんでした。なので、2年目が本当の勝負になると思います。
こうやって選手個人を見ていくと、なんで5位だったのだろうという思いも芽生えてきます。強いて言うならば、右打者の少なさが目立ちます。特に右の大砲を育てていかないといけません。堂林翔太もここぞというところで勝負強さをみせてくれていましたが、101試合で打率.243、8本塁打という数字は物足りません。
ルーキーの末包昇大も良いスタートこそ切れましたが、長いシーズンを通して活躍する難しさは痛感したことでしょう。新監督に就任した新井貴浩がどのようなチームづくりをしていくのか楽しみです。