2月1日からスタートする春季キャンプが目前となり、新生・新井カープの本格始動が近づいてきた。ドラフトを経て新戦力も加わり、激しさを増す投手陣の競争の行方を、OB・大野氏が、独自視点で解説する。(本文中のデータはすべて取材時・1月中旬のもの)

先発ローテーションの一角として期待される森翔平。昨シーズンは2試合に先発し、プロ初勝利をあげた。

◆注目は新監督と首脳陣。新たなチームがつくり出す雰囲気にも注目を

 間もなく、新井貴浩・新監督のもとでの初の春季キャンプがスタートします(取材は1月中旬)。このキャンプの注目ポイントの一つは、なんといっても新監督と、それを支える新首脳陣でしょう。選手それぞれに課題もあるでしょうし、チーム全体の底上げも重要ではありますが、チーム内の選手の争いが激しくなることが予想される中、新井監督がどのような目線で選手を見て、どのような形で起用していくのか。そして、選手たちがどのようにキャンプを過ごしていくのかにも注目したいと思います。

 新井監督は、周囲とのコミュニケーションが非常に上手な監督ですから、キャンプの雰囲気もこれまでとは違うものになるのではないかと考えられます。まずは、元気が良く、明るいチームの雰囲気の中で、選手それぞれが厳しいキャンプをどのように乗り越えていくかが重要になってくるでしょう。

 投手個人では、森下暢仁、床田寛樹の2人にも注目したいと思っています。森下は昨年10月に肘の手術を受けていますし、床田は骨折から回復してきているものの、まだ万全ではないという状態です。森下、床田ともに、オープン戦である程度投げることができ、開幕戦から先発ローテーションに入ることができればそれがベストですが、そうもいかない時に、先発として誰を起用するのか。そういったことも考えると、先発として起用できる投手を、1人でも多くつくっておかなければならないのではないかと思います。

 若い投手で期待したいのは、2021年ドラフト2位の森翔平、そして、昨年のドラフト会議で獲得した、3人の社会人投手です。彼らのような若い投手たちが先発ローテーションに割って入ることができれば、投手陣の層もますます厚くなるでしょう。

 昨シーズンのリリーフ陣では、右の矢崎拓也・左の森浦大輔の2人が非常によく頑張ってくれました。その分、今年はさらなる飛躍・成長が期待される1年でもあります。彼らにとっては本当の意味で“勝負の1年”になるでしょう。どの選手も、1年1年しっかり結果を残すことによって、安心感や信頼を勝ち取ることができます。まずは矢崎、森浦の2人が昨年同様のポジションでしっかり投げることができるかどうか……彼らにとっては、2年目の真価が問われる1年になると思います。

 投手陣の新たな顔ぶれとしては、巨人から『現役ドラフト』で戸根千明が移籍してきました。ここ数年は起用が減ってきていましたが、投げっぷりの良さが特徴の投手です。打者に対して『攻める』という強い気持ちも感じられますから、はまれば十分に一軍で活躍できるでしょう。経験も実績もある投手ですから、カープに移籍したことをきっかけに、もう一度、花を咲かせる姿を見せてもらいたいですね。

 そして今回は、野手に関しても少しお話ししたいと思います。内野手では新外国人のデビッドソン(前・アスレチックス)、そして外野手では、秋山翔吾がキーマンになるのではないかと思います。特に秋山は、今年はキャンプからチームに参加することができますから、コンディションもしっかり高めた上でシーズンに臨み、昨年以上の結果を残してくれるのではないかと期待しています。

 投手、野手ともに楽しみな選手が多いですし、期待の持てる楽しみなチームになるでしょう。このキャンプでは、主力が欠けた時でもすぐにその穴を埋められる、そんな強いチームをつくっていくことを期待したいですね。

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