いよいよペナントレース開幕を迎える新井カープ。若手、ベテランがアピールを続けるなか、一軍入りをかけた競争もますます激しさを増している。ここでは、OB・大野豊氏が、独自の視点でカープの投打を解説。

 伝説の左腕が、新生・カープに期待するものとは。

2023年シーズンの開幕投手に決まった大瀬良大地。5年連続は球団3人目となる。

◆開幕一軍候補は多数

 ここまでカープはオープン戦4試合を戦い(取材時の3月9日時点)、2勝2敗。まだまだ見極めの段階ではありますが、ここからどの選手が一軍を勝ち取れるのか、今の状態をどこまで上げていくことができるのかというところが、開幕に向けた鍵になってくるでしょう。

 今年の開幕投手は大瀬良大地に決まりました。5年連続ということで、カープでは黒田博樹球団アドバイザーに並ぶ記録となります。昨年までは、カット、スライダーといった変化球に頼りがちな傾向がありましたが、今年のキャンプではストレートをかなりしっかりと投げ込んでいる印象を受けました。やはり、変化球を活かすにはストレートとのコンビネーションが重要です。ここまでは非常に良い状態で来ていますから、大いに期待ができると思います。

 オープン戦は、どの選手も首脳陣に向けてしっかりアピールをしなければいけない段階です。先発投手候補に目を向けると、大瀬良大地、九里亜蓮、床田寛樹、森下暢仁らの名前が挙げられます。そこにアンダーソン、森翔平、遠藤淳志、ルーキーの益田武尚らが絡んでくる可能性も大いにあるでしょう。床田は昨シーズンのケガの状態もかなり良くなっているようで、どうやら開幕には間に合いそうだというのはうれしい情報ですね。ただ、森下は手術を受けた肘の状態がいま一つということで、こちらは開幕に間に合うかどうか、といったところでしょう。

 以前もお話ししたように、先発ローテーション候補が抜けた時に、いかにしてその穴を埋めるのかということは非常に大切です。1年間、決まった6人で戦えるという保証はないだけに、7人目、8人目の先発候補もしっかりと育てておかなければなりません。開幕で一軍に入れなかった選手たちも、しっかりと二軍で調整して、いつでも上がれるようにしておいてほしいと思っています。

 リリーフ陣に関しても同様です。カープは若いリリーフ陣が非常に多いチームですが、ここまでの様子を見ていると、もう少しアピールをしてほしいというのが正直な感想でした。また残念だったのは、昨年結果を出した矢崎拓也が脇腹を痛めて離脱してしまったことです。森浦大輔と並んで期待されていただけにチームにとっては痛手ですが、ここに、ケムナ誠、松本竜也らが入ってきて、さらに河野佳、長谷部銀次といったルーキーが絡んでくる可能性も大いにあります。ターリーや一岡竜司、岡田明丈らもケガから復帰の兆しが見えてきました。

 候補の名前はたくさん出てくるだけに、誰が一軍で開幕を迎えることができるのか、楽しみに期待したいと思っています。

(後編につづく)

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