いよいよペナントレース開幕を迎える新井カープ。若手、ベテランがアピールを続けるなか、一軍入りをかけた競争もますます激しさを増している。ここでは、OB・大野豊氏が、独自の視点でカープの投打を解説。
伝説の左腕としてマウンドに立ち続けた大野氏が、今シーズン、カープ野手陣に期待するものとは。
◆若手のアピールに期待
今シーズンの野手陣を見ていきましょう。投手陣と同様に気になったのは、若い選手のアピール不足です。田中広輔、菊池涼介、秋山翔吾といったベテラン選手たちが好調なのはうれしいことですが、若い選手たちにももっとアピールをしてほしいところです。野手陣のポジションを予想していくと、菊池、秋山、西川龍馬……といった名前が上がる一方で、若い選手の入る余地がないというのが正直な思いです。中村健人や中村奨成、末包昇大といった面々がもっとアピールして、昨年とはまた違った、成長した姿を見せていってもらいたいですね。
得点力では、マクブルーム、デビッドソンの両外国人にも期待をしたいと思います。デビッドソンはここまで少し苦戦をしている印象がありますが、コーチ陣が本人と話をしながら、徐々に日本の野球に適応できるように指導をしていくのでしょう。タイミングの取り方などをつかんで、開幕ではしっかり打てるような形で入ってもらいたいですね。両外国人が活躍すれば流れや雰囲気も変わってくるでしょうから、注目して見ていきたいと思います。
今年の野手陣を見渡してみると、名前が上がる選手には左打者が多いという印象を受けます。左右のバランスといった意味でも、若い右打者にはどんどんアピールして出てきてもらいたいところです。若い選手たちが、ベテラン選手に負けないように、「その座を奪うんだ」という気持ちで取り組んでくれれば、チーム内での争いも激しくなりますし、全体のレベルアップにもつながります。数少ないチャンスを活かすのは大変ですが、勝ち残るためにも、「このチャンスをものにするんだ」という強い気持ちと、技術と考え方を持って臨んでほしいと思います。
機動力野球の復活が期待される今年のカープ。機動力とは、なにも盗塁数だけを指すものではありません。エンドランや一つ先の塁に進むための走塁、相手バッテリーにプレッシャーをかけるようなリード……そうした技術をおりまぜながら、1点1点を積み重ねて大量得点を奪う。そんな戦いをしていってほしいと思います。ほとんどの選手は、走塁・守備の面では全く問題ないと感じています。あとはいかに打撃を上げていくかが課題でしょう。
投手陣には期待のできる顔ぶれがそろっていますし、野手陣には、これから出てきてもらいたい注目の若い選手もいます。新井貴浩監督には、極力不安材料を減らしたなかで、良い形でシーズンに入っていってもらいたいと思います。
