新井カープは、開幕4連敗とスタートダッシュにつまずいたものの、その後4連勝で巻き返すと、4月17日時点では、13試合を戦い8勝5敗と単独1位につけている。ここではカープOB・笘篠賢治氏に、オープン戦から開幕まで、そして今後の戦い方について語ってもらった。

4月4日の阪神戦で一塁へデッドスライディングし、気迫を魅せる菊池涼介。

 プロ野球開幕から約3週間が経過しました。カープはオープン戦最下位で終わり、多くの解説者が最下位予想をしていましたが、4月17日時点ではセ・リーグ首位と良いスタートダッシュを切りました。

 昨季まで2連覇中のヤクルトは今季も優勝候補であり、強敵となります。そういう状況のなかで、カープは先発の柱である森下暢仁の二軍調整が続くなど、先発陣はまだまだ盤石ではありません。それだけに森下が一軍復帰するまでに、勝率5割をキープした戦いを展開してほしいと思います。

 先発陣がより盤石になったタイミングで一気に勝ち星を積み重ね、鬼門の交流戦で失速しなければ、カープは十分に優勝を狙えるチームです。まずは勝率5割をキープしながら貯金を積み重ね、最下位予想をしていた方たちを驚かせるような戦いを展開してほしいものです。

 さて、カープ打線ですが開幕戦は1番・小園海斗でしたが、2戦目からは1番に菊池涼介を置き、その後は連勝し良い流れをつくっています。しばらくはこの打順で戦っていくことでしょう。

 印象的だったのが、4月4日の阪神戦です。菊池はヘッドスライディングを数回試みるなど、彼の気迫を感じる試合となりました。新井貴浩監督を“男にしたい”という心意気が伝わってきました。

 本来であれば一塁へのヘッドスライディングというのはケガにつながる恐れもあるので避けてほしいところですが、菊池に関してはベースにタッチしてから手を離すまでの動作が速く、その心配がないからこそできるプレーです。チーム内での年齢も上の方になってきており、チームを鼓舞するような姿勢を見せてくれていることは、チームに大変良い効果をもたらしていると感じています。

 また野間峻祥は主に2番起用が続いています。彼は俊足で併殺打も少ない打者ですので、甘い球が来れば1番を打っていた昨季までと同じ感覚で積極的に振ってほしいと思います。2番打者で言うと、WBC日本代表の栗山英樹監督は近藤健介を2番に置いて戦い、つなぎの打撃で見事に役割を果たしました。カープも打線が固定されたわけではないと思いますが、野間には新井貴浩監督の期待に応える打撃で上位打線を引っ張ってほしいものです。

 そしてクリーンアップも調子が良いですね。開幕から3番を打つ秋山翔吾の調子は非常に良く、主に6番を任されているデビッドソンには一発の怖さがあります。また5番を打つ西川龍馬、今季から捕手に専念する坂倉将吾の打撃状態も少しずつ上がってきており、4月後半以降の打線にも期待が持てます。

 冒頭で述べたように、勝率5割をキープできていればチャンスは十分にあるはずです。引き続き、我慢強く戦っていきましょう。

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