栗林良吏、大瀬良大地の離脱など、投手陣が想定外のアクシデントに見舞われたカープだったが、チーム一丸となった粘り強い試合で事前の評判を覆す戦いぶりを見せている。

 ここではカープOB・大野豊氏がシーズン前半戦を戦うカープを独自の『視点』で解説する。(取材は5月10日)

実績は十分あるだけに、ここからの打撃の爆発に期待がかかる坂倉将吾。

◆堅実に勝ちを積み上げて、『鬼門』の交流戦へ

 シーズンは1試合1試合の積み重ねですから、まずは大きな連敗をしないことが重要になります。大型連敗をしてしまうと、大型連勝をしなければ追いつけなくなってしまいますから焦りも出ます。勝てる試合をしっかり勝ち、連勝を続けること。そのような戦いができれば、この先を良い順位で迎えることができるでしょう。

 5月末からは、交流戦がスタートします。カープにとって交流戦は、毎年のように『鬼門』と言われていますが、レギュラーシーズンでしっかり勝ちを積み上げて、気持ちよく交流戦に入っていってほしいですね。しっかり投げて、しっかり打てば勝てるんだという思いで、それぞれの選手が自分の役割を全うするという意識で頑張ってほしいと思います。

 今シーズンのカープは機動力を使うといった姿勢も見せてくれていますし、戦い方も変わってきていると感じます。全体を見渡してみると、坂倉将吾やデビッドソンのように本来持っている力を出しきれていない選手たちがいるにも関わらずチームの順位は良いことを考えると、決して悲観することはないと受け止めています。

 期待されている選手たちが、期待に応える働きをしてくれれば、チームはもっと上に行けるということが見えてくるわけです。勝つ確率を上げるために、ここからどう戦っていけば良いかということをチーム全体で考えていけたら良いのではないでしょうか。

 ここからは『鬼門』の交流戦が始まるわけですが、心配するというよりも、今の状況を前向きに捉えて、「より良くなっていくはずだ」という期待を持って、この先の試合を見ていきたいと思います。