名門の亜細亜大で鍛え上げられた守備力と強肩を生かしたショートの動きは、一軍でも十分通用するところを見せた。矢野雅哉の課題は明確。打撃の向上だ。打率、出塁率を上げることを意識しながら二軍で実戦経験を積んでいる。そして二軍での日々は矢野に新たな進化をもたらした。赤松真人二軍外野守備・走塁コーチからの助言により、盗塁への意識が変わりつつある。さまざまな経験を糧に6位入団の矢野がどんな成長をみせるか。2021年8月の由宇球場で聞いた矢野の声を再収録する(2021年掲載記事を再編集)。
◆コーチの指導で変わった盗塁への意識
─打率は2割台前半ながら出塁率は3割台。塁に出る役割を果たしています。
「二軍に来た頃に比べたらだいぶ力がついてきましたし、相手投手に対してしっかりと対応できているので、少しずつ成長はしているのかなと思います。意識しているのは打席での粘り。追い込まれてもいかに打球を前に飛ばすことができるかを強く意識しています」
─四球はチーム2位の28四球(2021年9月27日時点)。試合を重ねるごとに打席でのしぶとさが目立っています。
「投手に対応できなければ四球さえ奪えないと思うので、とにかく打席で粘り、投手に球数を投げさせて、安打を打てなくても四球で塁に出て、後続につなげられるように取り組んでいます」
─走ってはチーム2位の9盗塁を記録(同上)。走塁面で意識していることを教えてください。
「塁に出たら、盗塁は毎球狙っています。あと、今は二盗よりも三盗を狙うように心がけています。赤松コーチから、『アウトになってもいいから、どんなタイミングで走れば三盗が成功するか覚えられるように積極的に仕掛けなさい』と言われています。二軍に来て赤松コーチから指導を受け、走り方自体は変わっていませんが、“次の塁を狙う”姿勢の部分は大きく変わったと思っています」
─一軍昇格に向けアピールしていきたいことを教えてください。
「打撃に関しては、春先の自分とは違うことを結果で示していきたいです。一軍に呼ばれた時に成長したと思われるようにしておかないといけません。一番意識している数字は出塁率。とにかくそれにこだわっていきたいです。あとは打つ、走る以外にも守備においてもレベルアップした姿を見せていかないといけません。暑さなんて気にならないほど、やらないといけないことがたくさんあります」
◆プロフィール
矢野雅哉 61
■やの・まさや ■1998年12月16日生(22歳)■171cm/70kg
■右投左打/内野手 ■大阪府出身 ■亜細亜大-広島(2020年ドラフト6位)
担当スカウトが惚れ込んだ強肩が矢野の一番の魅力。どんな体勢からでも一塁に矢のような送球を送る。課題の打撃を向上させ、狙うは一軍レギュラー奪取だ。