今シーズンから捕手専任となったカープの坂倉将吾。昨シーズンは全試合出場のうち、三塁手として119試合に先発出場し、捕手出場は18試合。今シーズンは38試合に出場し、そのうち先発出場した35試合はすべて捕手としての出場だ。ここではカープOB・笘篠賢治氏が、坂倉について語る。

今シーズンは捕手専任で出場をしている坂倉将吾。

 新井貴浩監督の下、捕手一本での出場となっている坂倉将吾は、打撃面を見るとここまで打率.260前後という数字を推移しています。彼の魅力のひとつは打撃です。捕手専任で大変なこともあるかとは思いますが、夏場に向けて打撃の調子を上げてほしいものです。

 ここまでは4番を打つマクブルームの後ろに坂倉を置くオーダーが増えてきていますが、私もこのオーダーが理想的だと考えています。振り返ってみれば、私が現役時代は捕手でありながら主軸を張っていたのは古田敦也さんや、城島健司らがいました。チームの主軸だけに、打席では“打たなければならない”という使命感よりも、“楽しんで打席に立っている”というイメージが強く残っています。『自分がリードしていたらこういう配球だろう』と、先を読みながら打席に立っている感覚です。自分の考えとは異なる球が来たら『そう来るのか』など、その姿はまさに、“野球”を楽しんでいるように見えていました。

 そういう意味で言えば、坂倉も今まで以上に打席で楽しむことができれば、さらに良い結果が出てくるのではないかと思います。良い意味で楽しむことで、体の力が抜け本来のスイングができるようになるのではないでしょうか。

 しかし、現在の彼の気持ちからすれば、“打つ、打たない”というよりも“勝ち負け”の思いが強いでしょう。もちろん三塁を守っていた昨季も守備を大事にしていたと思いますが、捕手というポジションの特性上、投手のリードがメインになってきているはずです。昔からよく、“捕手というポジションは優勝して初めて評価される”と言われたりもします。いくら打てても、勝たなければなかなか評価してもらえない立ち位置でもあるのです。

 捕手として、キャッチング面などまだまだ課題はあるでしょう。ですが、捕手出身の藤井彰人ヘッドコーチや、石原慶幸バッテリーコーチという心強い存在がいます。彼らからたくさん学び、今季は改めて捕手としてレベルアップし、球界を代表する“打てる捕手”に成長してほしいですね。

 5月も残すところわずかとなり、交流戦も始まります。守備面、攻撃面においても坂倉の活躍がチームにとって大事な要素となることが予想されますので、彼のプレーにはさらに注目していきたいです。

「広島アスリートマガジン」6月号は、「彼らがスペシャリストの理由。」チームを支えるスペシャリストたちの素顔と勝利への想いをお届けします!カープ・西川龍馬選手、戸根千明選手の独占インタビューもお見逃しなく。そして、支配下登録された中村貴浩選手のルーキーインタビューもお届けします!