2016年〜2018年、カープがリーグ3連覇を果たした当時、不動の「1番・ショート」としてチームを牽引した田中広輔。2019年以降は故障もあり、苦しいシーズンが続いている。

 今季は、ここぞの場面で印象的な一打を放つなど、その存在感を見せつけている。チームの布陣が変わりゆく中で、背番号2の経験は不可欠だ。ここでは、節目のプロ10年目を迎えたベテランの思いに迫る。(全3回・1回目)

今季プロ10年目を迎えたカープ田中広輔選手

◆1年間、しっかり戦える体づくりを

─今季は節目のプロ10年目を迎えます。率直にどのような気持ちですか?

「よくここまで出来たなというのもありますし、もう10年だなと。振り返ればあっという間ですよね。僕は社会人から入団したので、即戦力という見られ方でした。結果を残せなければ早い段階で切られるかもしれないと思っていましたし、そんなに甘くない世界だと思ってスタートしてから、毎年の積み重ねですね」

─今季から新井貴浩監督となりました。現役時代共にプレーされています。監督と選手という関係性となった心境を聞かせてください。

「4年間(2015〜2018年)選手として一緒にプレーしていたときのイメージとあまり変わらないですね。それは新井監督が選手にすごく気を遣っていただいているのかなと感じています」

─新井監督となり、田中選手が感じるチームの雰囲気はいかがですか?

「若い選手が多いですからね、そういう意味ではこれまでと変わらず良い雰囲気だと思いますね」

─新井監督は選手のみなさんとのコミュニケーションが多い印象があります。キャンプからここまで、監督との会話で印象に残っていることはありますか?

「そんなに多くはないですが、気づいたことがあれば、その場で声をかけていただけています。選手の立場としてはすごくありがたいことですよね。気にかけてくれるに越したことはないですけど、僕もそういう年齢でもないですからね(笑)。コンディショニングの面でも良く声をかけていただいています。特別な話はありませんが、僕の良い時期やタイプを知っている方ですし、『外から見ていただいていてこうだったよ』とか、声をかけていただいてありがたいなと思っています」

 ─春のキャンプを迎えるにあたり、今シーズンはどのような思い、テーマで臨みましたか?

「僕は毎年変わらないんです。まずケガをしない体づくりを1月の自主トレからやってきて、キャンプを経て、オープン戦からファンのみなさまの前でプレーをすること。そしてその中で1年間しっかり戦えるようにという考えです。ちゃんとやっていれば結果はついてくる、と思ってやってきていますが、そこは1年目から変わらないところです。あえて言うと年齢を重ねたことで練習内容が少しだけ優しくなったくらいですかね(笑)」

─打撃、守備において、特に重点的に意識されたことは何ですか?

「これまでは守備に比重を置いてキャンプを過ごしていましたけど、ここ数年打撃の成績が思わしくないので、同じくらいの比重で練習に臨みました。あとはコンディショニングですね。どうしても疲れが抜けにくくなってきているので、毎日少しでも疲れをいかに減らして練習に入れるかを考えながらやっていました」