リーグ戦の順位に大きな影響を持つ交流戦。カープとしては毎年苦しい戦いを強いられ、大きく負け越してしまうのはどうしてだろうか。
OB・梵英心氏の証言をもとに、なぜカープは交流戦が苦手なのか?という核心迫る本企画。第2回目となる今回はOB・梵英心氏にカープ独自の交流戦事情、そしてカープが交流戦を苦手としていた理由について語ってもらった(2020年の掲載記事を再編集)。
◆カープ独自の交流戦事情とは
前回は梵英心氏に新人時代初めて交流戦を経験した当時の様子、そして交流戦ならではの思い出を振り返っていった。
今回はカープと交流戦をめぐる問題の核心、“なぜカープは交流戦が苦手だったのか”という点にも触れていく。セ・リーグとパ・リーグの対戦成績を見たときに、あまりにも一方的な差があるように見えるが、ことカープにとっては交流戦に実力を発揮しづらいある事情があった。
『それは“移動距離”の問題だ』
「あまり意識されない点かもしれませんが、カープは通常のリーグ戦の遠征は最も遠くても東京です。しかし交流戦の場合は仙台、北海道までその移動が延びることがあります。自覚症状があるほどではありませんでしたが、やはり移動距離が増えるとなると単純に疲れがたまりますからね」
リーグ戦では経験しない慣れない土地への移動、さらにその距離が増えることで、選手たちにも目に見えない疲労がたまり、戦いに立ち遅れていってしまっていたのかもしれない。
一方で慣れない環境、つまり球場の違いについては、そこまで大きな差を感じなかったようだ。
「球場ごとの特徴は多少ありましたが、プレーに支障が出るほどのものではありませんでした。強いて言うなら『ほっともっとフィールド神戸』は天然芝だったので、他とは違う打球がきていました。旧広島市民球場時代は土でしたし、交流戦開幕当時パ・リーグの他の球場は人工芝だったので、守りの面で多少意識するぐらいのものでしたね」
2009年からは守備が難しいとされる天然芝と土のグラウンド・マツダスタジアムを本拠地としていたことも、梵氏にとっては幸いしていたのかもしれない。