今シーズン、プロ野球公式戦はさまざまなコロナ対策が実施される。その中でも選手にとっても観戦するファンにとっても一番変化が感じられるのが無観客試合だろう。既に3月のオープン戦から実施されており、開幕からも当面無観客の状態が続けられる見込みだ。

DeNAとの開幕3連戦では2本塁打、5打点と好スタートを切った鈴木誠也選手

 鈴木は無観客試合について、戸惑いを感じながらも前向きに捉えようとする。

 「シーズンが開幕することに不安はないですけど、やっぱりモチベーションという面に関して言うとお客さんがいる環境とそうでない環境で比べると球場の雰囲気が全然違いますよね。球場が盛り上がっているときのモチベーションの状態に持っていくということは、無観客ではたぶん無理だと思います。いつもだったら100%の力が120%出たり、応援の力で自分が思っている以上の力が出ると思うんですけど、今年に関してはそれが出るかどうか……なかなか分からない部分があると思います。でも、これも今までにない経験ができると思うので、その中で自分の能力というものもどのくらいか分かりますし、良い経験だと思ってプレーしていきたいです」

 打球音、捕球音、選手の声など、普段プロ野球の試合からはなかなか聞くことのできない音が、現在球場では響き渡っている。プラスに考えればそれが新鮮だと捉えることができるかもしれない。しかし選手としては、気持ちを盛り上げてくれる一番の要素である『ファンの声援』がないことは違和感であり、自身のパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのか、それは未知数な部分だ。

 「もちろん難しいシーズンにはなると思いますけど、今年はクライマックス・シリーズもありません。リーグ優勝したチームだけが日本シリーズに行けるっていう形になっているので、目指すはそこだと思います。今までは優勝しても『まだクライマックスがあるのか』という思いも正直あったんですけど、今シーズンはそれもなく、一発勝負の戦いになるので、逆にそれはそれで良いと思っています。あと、ずっとこの状況が続く訳ではないと思うので、またお客さんが球場に来てくれたときにもっと活気あるプレーができるよう、頑張りたいなと思います。球場に来たいファンのみなさんはたくさんいると思いますが、今はみんな我慢の時期だと思いますし、僕たちもテレビで見てもらって『活気があるな』というプレーができるように頑張ります」

 波乱のシーズンへ立ち向かう背番号1。チームのため、家族のため、そしてレンズ越しのカープファンのために、己の能力を最大限に発揮するのみだ。