2年目を迎えた新井カープ。開幕直後から新外国人選手の離脱や、リーグワーストタイ記録に並ぶ4試合連続完封負けを喫するなど我慢の試合が続いている。しかし投手陣は好投を続け、打線も徐々に調子を上げ始めている。ここではカープOBの笘篠賢治氏に、カープの現状について見解を語ってもらった。(結果は4月11日時点)

4月4日ヤクルト戦でタイムリーを放ちガッツポーズする矢野雅哉。若手の活躍にも期待が集まる。

◆慌てる必要はなし。今は戦力の底上げがメイン。

 新井カープ2年目のシーズンが始まりました。ここまで4カードを終えて、5勝6敗で4位。新戦力のレイノルズとシャイナーが揃って開幕直後、早々に故障離脱してしまいました。また、4試合連続完封負けを喫するなど、点を取るという部分に関しては苦しんでおり、投手陣が辛抱して頑張るという展開になっています。

 ただ、慌てる必要はないでしょう。なぜなら新井監督も先を見据えた戦い方をしています。今年も開幕からMAXな状態で戦うというよりは、若手にもチャンスを与え、戦力の底上げをしながら、チーム全体でシーズン中盤から後半にかけ最高の状態に持っていくイメージで行っているのではないかと私は考えます。

 打線ですが、打撃練習を見る限り、若い選手たちも良い打球を飛ばしていましたし、そこまで深刻ではないと感じました。左膝の故障で出遅れている末包昇大が一軍に上がってきて、主軸で機能しはじめれば、打線の勢いも変わると思いますし、堂林翔太も4番でしっかり頑張ってくれています。

 現在のカープは先発陣に安定感があり、投手力で勝つという戦い方になっています。そのため、攻撃面では先制点にこだわらなければなりません。早い段階でのバントなどの戦略もありですし、リードしている展開になれば、ヒットエンドランの仕掛けもやりやすくなり、カープらしい戦い方ができるはずです。例えば、ソフトバンクのように強打者が並び、一発で点を取るようなチームが相手であれば、「1点を取ったって仕方がない……」と思うかもしれませんが、現在のセ・リーグを見てみると、調子の良いカープ投手陣からビッグイニングをつくるという場面はあまり考えられません。いかに1点を先制するかを考えて戦うことが重要になってくるでしょう。

◆菊池涼介と坂倉将吾の起用方法

菊池涼介の打順も今後の見どころ。

 また、ここまでで菊池涼介が8番で出場する試合もありましたが、個人的には少しもったいない状況になっているかと思います。『何をしてくるか、わからない』という駆け引きが菊池の持ち味だと私は思っています。2番や6番であれば普通に打つのか、ヒットエンドランなのか、バントなのか……などいろいろな選択肢があり、相手からすれば嫌なところであると感じます。また6番でもそういったことができそうです。

 そして、まだ本調子ではない坂倉将吾が中軸を打てる状態になるまでは8番を打たせても良いのではないでしょうか。調子が悪い中でも怖さは十分にありますので、例えば2死から勝負を避けられ、9番に回れば、次のイニングは1番から攻撃ができます。

 まずは各球団と一回り対戦して、そこからどのように対応していくのか。私も楽しみに注目していきたいと思います。