◆2020年は元のスタイルで勝負する

 昨年12月には自身の結婚式などもあり、多忙なオフとなったが、そんな中でも大瀬良は昨シーズンの反省から見えた課題と向き合ってきた。

「ウエートトレーニングをしっかりして、走り込みも昨年とは比べものにならないぐらいこなしました。1年間戦える体をつくりたいというところで、昨年までのこの時期の練習量だと、1年間もたないなと思ったんです。30歳に近づいてきたので、メンテナンスだったりそういうケアをしなければいけないこともあります。だからといって過保護にならずに追い込むところは追い込もうと思いながらやっていました」

 1年間戦える体力をつくり直す中で、自身が大きく飛躍する要因となった投球フォームの改良にも着手。それまでの2段モーションでは体に負担が掛かると考え、さらに負担の掛からないシンプルな投球フォームを試した。

「もう少しシンプルに投げられないかなと思ったのが一番です。2段ではなく一連の流れで投げていけるのが自分の理想だと思っているので。もちろん2段モーションで得られたことはたくさんありますが、理想の球を投げるために必ずしも2段モーションでなければいけない訳ではないので、試行錯誤しながらやっていました」

 カープのエースが変化しようとする姿は注目を集めた。しかし、新フォームを試す日々の中で次第に違和感が強まっていた。そんな中で迎えた2月1日、キャンプ初日からブルペンで投球する大瀬良の姿は、昨年と同じ2段モーションだった。

「新しいことに挑戦する勇気と同じくらい、合わなければ元の投球フォームに戻す勇気を持ち合わせながら試していました」

 大瀬良は勇気を持って、投球フォーム変更を断念する決断した。そう決めた以上は2段モーションからくる負担に対応するべく、若手に交じって例年以上に走り込みを増やすなど体力強化を図り、キャンプ中はハードなトレーニングにも時間を費やし、課題と向き合いながら調整を続けてきた。

 その結果、開幕後は2試合連続完投勝利と確実な成果を発揮した形となっている。自身が課題とする夏場は目前。オフから体力アップを図ってきた成果を見せつけるのは、これからだ。