1993年の創刊以来、カープ、サンフレッチェを中心に「広島のアスリートたちの今」を伝えてきた『広島アスリートマガジン』は、2025年12月をもって休刊いたします。32年間の歴史を改めて振り返るべく、バックナンバーの中から、編集部が選ぶ“今、改めて読みたい”記事をセレクト。時代を超えて響く言葉や視点をお届けします。

 第4回目の特集は、カープ歴代助っ人外国人のインタビューセレクション。

 海を渡ってカープやってきた助っ人たちは、その活躍だけでなく、ユニークなキャラクターでも多くのカープファンに愛された。ここでは懐かしい外国人選手を中心に、彼らの “広島愛”を改めて振り返る。

 持ち味である広角打法で左右自在に打球を放ち、2009年に15本塁打をマークしたアンディ・フィリップス。来日当時に助っ人が語っていたカープファンへの思いを改めて振り返る。(全2回/第2回)

(『広島アスリートマガジン2009年10月号』掲載記事を再編集)

カープ退団後は楽天で1年間プレー。2011年からは母校・アラバマ大でコーチも務めた

◆どんな練習よりも、試合のなかで学ぶことは多い

— 守備面では、本来のポジションではないレフトを守ることが多くなっています。当初は落球するなど苦労されていましたが、今はいかがですか?

「私はアメリカでもいろんなポジションを守れるユーティリティタイプでしたが、一つひとつのポジションに特徴があるので、勉強してたくさん練習をこなしてきました。ただ、どんな練習よりも試合の方が学ぶことは多いです。今のレフトに関しても一生懸命練習はしていますが、試合の中で失敗をして、反省して学んで、というのを繰り返しています。慣れていないので失敗も多かったのですが、それが私の財産となり、少しずつ守備がうまくなってきています。慣れてきていると言えるかもしれません」

— マツダ スタジアムのお立ち台にも何度か立たれました。たくさんのファンの声援も受けましたが、気持ちのいいものだったのではないですか?

「もちろん、それが一番うれしいです。ファンの熱狂的な応援は日本の野球のひとつの特徴だと思いますし、どのチームでも地元のファンが心から応援し、最後までチームをサポートします。もちろんアメリカでもすごく応援してくれますが、日本のファンは180度違うと思いますね」

— 入団会見ではギターが趣味ということも仰られていましたが、試合前などにはギターを弾いてリラックスされているようですね。

「野球をやっているときもオフでも、ギターは私の大きな趣味です。シーズン中にも空いた時間はあるので、そういう時間にギターを弾いています。日本の音楽とアメリカの音楽は違うところがとても多くておもしろいですね。練習中に流れている音楽も聞きますが、楽器や曲に興味があります。どういう楽器を使っているとか、これを弾いている人は上手だなとか、このメロディーはいいなとか、いろんなことを感じます。日本、アメリカは関係なく、音楽自体が好きなんです」

— そのあたりも試合で好結果を残す秘訣と言えそうですね。チームはクライマックスシリーズを目指して戦っていますが、フィリップス選手のバットにもますます期待がかかりますね。

「Aクラスを目指すために大切なのは、一日一日の試合だと思います。勝つために何ができるかということを考え、その日の試合に全ての力と集中力を込める。今の順位や勝敗、ゲーム差は絶対に意識してはいけません。目の前の1試合に集中し、それを毎日繰り返すことが大事です」

— 頼れる打撃でファンの信頼も厚くなっていますね。

「そう思ってもらえるのは、選手としては非常にうれしいことです。私を応援するために球場に来てくれて、私のパフォーマンスに対して応援し、喜んでくれる。そのために私は広島でプレーしていますし、そのように思ってくれるファンの方が一人でも多く増えてくれるのが選手としては喜ばしいことです」

■アンディ・フィリップス
1977年4月6日生、アメリカ出身。メジャーでは初打席初球本塁打というデビューを果たし、2006年にはヤンキースで110試合に出場。2009年シーズン途中にカープ入団。クリーンアップを任され、広角打法で主軸として活躍した。2010年には楽天でプレー。