カープ大瀬良大地が、開幕からエースらしい投球で2連勝と好スタートを切り、投手陣を牽引している。

 6月19日、雨中での開幕戦(対DeNA・横浜スタジアム)ではDeNAのエース・今永昇太との投げ合いとなったが、9回116球を投げ、4安打1失点で見事完投勝利を収めた。続く6月26日の中日戦(ナゴヤドーム)でも9回132球の力投で2試合連続の完投勝利をマーク。開幕10戦を終えた時点で完投勝利を記録しているのは、両リーグを通じて大瀬良のみ。まさにエースの投球を見せつけている。

開幕から2試合連続完投勝利を記録した大瀬良大地投手

 好スタートを切った大瀬良だが、当然ながら開幕までにイレギュラーな調整を強いられてきた。そして開幕投手というプレッシャーと常に向き合いながら過ごしてきた。

「『開幕投手を頼むぞ』と言われてからは3月20日に向けて調整していたので、開幕延期が決定したときにはすごく残念な思いもありました……。でも状況も状況ですからね」

 佐々岡真司監督から早々に開幕投手に指名されていた大瀬良。昨シーズンの悔しさを踏まえてオフから自らを追い込み続けて3月20日にピークを合わしてきた。それだけに複雑な心境であったに違いない。

 2年前の2018年、投球フォームを大幅変更したことで大きく飛躍した。15勝7敗で最多勝、最高勝率の2冠に輝き、先発陣の大黒柱として3連覇に貢献。一躍エースという立場となった昨季2019年は初の開幕投手を務め、前半戦から順調なスタートを切った。しかし、夏場を迎えると打ち込まれる場面が目立ち、思うように勝ち星が伸びなかった。

「やっぱり夏場はどうしても、自分の感覚よりも打者の反応というか、そんなに直球に強さを感じていなかったり、自分は悪くないと思っていても、そんなに球が来ていないと感じることもあったので。それは完投した試合でもそうですね。そういったところを考えると、やっぱりまだまだ弱さがあったのかなと思います」

 2019年、結果的に両リーグトップの6完投を記録し、3年連続二桁勝利となる11勝をマークしたが、前年と比較すると全体的に数字を落とした。チームは4位に沈み、エースとして悔しい結果となった。