2016〜2018年、リーグ3連覇を果たし『逆転のカープ』とも呼ばれていた2016〜2018年。ここでは主力として3連覇を経験した安部友裕氏に、当時と今シーズンのカープの戦いぶりを、6つのポイントで解説してもらった(取材は8月上旬)。

抑えとしてマウンドに立ち続けた矢崎拓也選手の活躍は誰もが認めるところ

◆【POINT04】相手打線を抑える投手陣「中継ぎから抑えまでフル回転」

勝ちパターンを確立し、中盤以降は絶対に点を取らせない投手陣。3連覇時と比べても、2023年はレベルの高い勝ちパターンが躍動している。

7月12日から続いた10連勝は、2点差以内の接戦も多く中継ぎ陣はフル回転でした。一度は首位に立ったものの、阪神に負け越してしまいましたね。でもこの負けを僕は、ラッキーだったと考えています。あれだけ投げ続けた勝ちパターンの投手たちに、少し休養を与えることができました。
3連覇の時、勝ちパターンの投手たちの疲労は相当なものでした。ですから長い目で見て、負けて投手陣に休養をとってもらうことも大切です。僅差のゲームが多ければ多いほど、投手陣への負担は大きくなります。たとえ負け試合でも、プラスに捉えて応援を続けていきましょう 」

 

◆【POINT05】日替わりヒーロー「誰もがヒーローになる雰囲気」

2023年のお立ち台には、毎回さまざまな選手が立っている。いろいろな選手が日替わりで活躍することは、チームが活性化している証だ。

連覇をしている年は、チーム全員で選手を送り出す雰囲気がありました。代打であろうと、代走、中継ぎであろうと、頼んだぞ! という、チーム全員の期待が注がれていました。出場した選手は、その後押しに応えようと全力でプレーをしていました。今年はその雰囲気を、以前よりも強く感じます。
チーム全員で戦っていくという雰囲気をつくり出しているのは、新井(貴浩)監督の人柄だと思います。新井監督のためにという気持ちを、選手全員が心に秘めているからです。試合に出る選手全員がヒーローになってもおかしくありません!」

 

◆【POINT06】チームの共通意識「自分の役割を高い意識で実現」

『機動力野球復活』を掲げて臨んだ2023年。盗塁数は71個(1位)と、数字を見ても明らかに機動力を活かした試合運びをしているが……果たしてその効果は⁉️

「チームとしての目標や戦術を明確にし、それを実現するために選手それぞれの役割がきちんと整理されています。例えば、ある場面で自分はチームのためにどんな打撃をするべきなのか、次のプレーにつながる最良の選択をし、選手一人ひとりが意識を持ってプレーしています。
その結果、チームとしてのまとまりが出て、たとえリードされている試合でも一丸となって最後まで挑み、結果として逆転につながっています。チームをつくり上げる首脳陣、それに応えようとする選手、それぞれが『カープの野球』という共通認識の下で、試合に臨めているからこそ、チーム全体で実現できているのです」

◆安部友裕(あべ・ともひろ)
1989年6月24日生、福岡県出身。福岡工大附高-広島(2007年高校生ドラフト1位)。一軍定着までに苦戦したものの、プロ9年目となる2016年に115試合に出場し、25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。翌年2017年には初の規定打席に到達して打率3割を記録。リーグ3連覇に主力として貢献した。2022年限りで引退。通算成績は700試合、打率.264 443安打 25本塁打 160打点 49盗塁。