エディオンピースウイング広島に漂った不穏な空気を払拭したのは、今シーズンから広島に加入した背番号77だった。華麗に先制点を挙げた紫の新戦力は、PK失敗により相手に傾きかけた流れをほんの数分で引き戻してみせた。

 開幕戦から期待に違わぬ活躍で輝きを放つストライカー・大橋祐紀の、今シーズンに賭ける思いをお届けする。(全3回・前編)

2024シーズン開幕戦、2ゴールを挙げた試合後に大きくガッツポーズをする大橋祐紀

◆全員がハードワークした結果の勝利。ゴールを挙げることができたのはうれしかった

—加入1年目の2024シーズン、浦和とのJ1開幕戦(2月23日・〇2-0)に先発出場しました。先発を告げられたのは、いつですか?

「試合当日です。エディオンピースウイング広島の初戦でもあり、誰もがピッチに立ちたいと思っていたはずです。加入後に話を聞いて、さまざまな歴史と、多くの人々の支えで完成したスタジアムだと感じていたので、新加入でピッチに立たせてもらう責任、強い思いを表現したいと思って準備しました」

—試合前の選手入場では、どんなことを感じましたか。スタンドにはエンブレムのコレオグラフィー(人文字)が登場しました。

「素晴らしかったです。サンフレッチェファミリー(ファン・サポーター)の皆さんと、エディオンピースウイング広島が最高の雰囲気をつくり出してくれていました」

—前半終了間際の45分の先制点は、川村拓夢選手のシュートを浦和のGK西川周作選手がはじき、こぼれ球を蹴り込みました。

「味方がシュートしたときにゴール前に詰めていく動きは、常にやっていることです。試合後に映像を見たら、自分が思っていたよりもボールが上に行っていましたが(※クロスバーの下に当たってゴールイン)、とにかく西川選手に当てないように、と思って打ちました。新スタジアムでの開幕戦で初ゴールを決めることができて、うれしかったです」

—後半立ち上がりの53分、前線からの守備で浦和のボールにプレッシャーをかけて、大橋選手が倒されてPKを獲得します。大橋選手とピエロス・ソティリウ選手が話し合い、ピエロス選手がキッカーを務めましたが、左に外れて追加点とはなりませんでした。

「みんなでボールを奪いにいった結果、自分の前にこぼれてきただけだと思っています。うまく前線でボールを奪うシーンを作ることができました。ピエロス選手とはいろいろやり取りしましたが、追加点が大事だったので、すぐに2点目を取れてよかったです」

—PK失敗直後の55分、加藤陸次樹選手のセンタリングを大橋選手がヘッドで合わせて2点目を決めました。

「加藤選手を見ながら何度か動き直して、センタリングが上がってくるときに飛び込もうと思っていました。うまくタイミングを合わせることができたと思います」

—57分にも大橋選手がゴール前でシュートを打つ場面がありました。

「あのシーンは相手選手の足が先にボールに触れたので、シュートを打てませんでした。もう1点取れていれば試合を決めることができたと思いますが、守備陣が無失点に抑えてくれました。やはり広島の守備は堅いし、全員がハードワークした結果でもあります」

大橋祐紀(おおはし・ゆうき)
1996年7月27日生、千葉県出身
ポジション・FW
八千代高ー中央大ー湘南ー広島(2024年〜)
中央大時代は加藤陸次樹とチームメートで、ふたりのコンビネーションから得点を量産。前所属の湘南でもストライカーとして活躍し、2023シーズンの開幕戦ではハットトリックを達成した。広島移籍後の2024シーズン開幕戦でも2ゴールを挙げチームをけん引。2シーズン連続の二桁得点が期待されている。