2023年には創部初の社会人野球日本選手権への出場を果たすも、目標としていた日本一には届かなかったエイジェック硬式野球部。新たに25人の新人選手を迎え入れることで、万全の戦力でシーズンを迎える。ここでは主将として2季目を迎える京橋幸多郎選手のインタビューをお届けする。

エイジェック硬式野球部 主将 京橋幸多郎選手

◆みんながチームの目指すものを理解して取り組めている

―昨年は創部初の社会人野球日本選手権に出場をしました。

「1つ目の目標であった2大大会の1つである『日本選手権』の“出場”は果たせましたが、その先にある“日本一”という目標には届きませんでした。その大事な初戦で、タイブレークまで持ち込み「あと一歩で勝てた」とおっしゃっていただくこともありますが、僕はそこに“弱さ”があると感じました。最後の最後で勝ち切る力をつけないといけないと実感しました」

―そのような中で今年のスローガンは『一(いち)』になりましたが経緯を教えてください。

「日本選手権での敗戦を受けて、意識改革が必要だと思いました。その中で“一球” “一走” “一打” という『一(いち)』にこだわってプレーをしていこうという意味を込めてスローガンにしました」

―野球部のスローガンはどのように決めているのでしょうか?

「今年は1人1案ずつ出して、そこから僕や副主将が選定を何度か繰り返して最終的に決まりました。込める意味合いとしてはミーティングでの難波(貴司)監督からの話を中心に、僕たちに足りないものは何か?を考えました」

―新たなスローガンのもとスタートした新チームは京橋主将から見てどのように映っていますか?

「年が明け、新チームとなり、新人選手たちは『新天地でやってやるぞ!』と意気込んで入ってきてくるのでチームが活性化してきているなと思います。キャンプ期間は栃木と鹿児島に分かれて行いました。年々入ってくる選手のレベルが上がっているので既存の選手も緊張感を持って取り組めていると思います」

―新たに25名の新入団選手を迎え、総勢63名という大所帯になりましたが、主将として取りまとめる難しさはありますか?

「毎年カラーがあると思うのですが、今年の新人選手たちは野球に対して真面目な印象があります。そういうカラーを持つ新人選手たちと、鹿児島キャンプでチームの方向性を早いうちに共有することができたのは、大きな意味を持つと思います。そのおかげもあって関東に帰ってきてからもみんながチームの目指すものを理解して取り組めていると感じています。ただ、学生と社会人の“野球”の違いや、“考え方”の違いというところはこれから教えていかなければいけないと思います」

―現時点で注目の選手はいますか?

「挙げるとすると、石神悠樹(松本大)と神宮隆太(駒澤大)の2人です。石神は本当に足が速くて、大きな武器になると思いますし、チームにとってもありがたい存在になってくれると思います。神宮は独特の野球感を持っているので話をしていて面白いですし、大学で4番を打っていただけあって長打力も魅力です」

―オープン戦からアピールを続けていた選手も多くいました。

「そうですね。最近試合に出ているメンバーだと片平吉信(城西大)や高木大輝(国際武道大)は公式戦も早い段階で出番があると思います。その他にも島川叶夢(早大)を筆頭にポテンシャルの高い選手ばかりなので、難波監督も頭を悩ませるのではないでしょうか」

―今名前が挙がった片平選手とは一緒に外野を組みます。

「ポジションやタイプが被るので、僕も危機感を持ってプレーをしています。現にスタメンで出ない試合もあります。ただプラスに考えると、片平がセンターを守るときは、僕はレフトに入ることが多いので、センターと見え方が違うことで、野球の視野は広くなっていると自分自身で感じています。合わせて、僕が経験したことで分かることは、彼らにアドバイスし、伝えるようにもしています」

―4月のJABA日立市長杯からは、社会人野球日本選手権大会をかけた試合が始まります。

「今年はチームの力を見ただけでも地方大会を勝ち抜く力はついてきていると思います。これらの社会人野球日本選手権対象大会を勝ち抜いてリベンジのスタートラインに立ちたいです。その為には、強いチームにならなけませんので、試合までの期間で調整をしていきたいと思います」

―社会人野球の2大大会への予選となる「日本選手権対象大会」と「都市対抗予選」の雰囲気は、選手として異なるものですか?

「都市対抗予選の緊張感は独特なものがありますね。楽しみなメンバーもたくさんいますが、最後は僕たち既存のメンバーがキーになると思っています。あの独特の緊張感と雰囲気を知っているからこそ発揮できる力や、役回りがあると思います。その上で新人選手たちがのびのびとそれぞれのポテンシャルを発揮してくれたら良い結果につながると思います」

―最後に今年の目標と意気込みをお願いします。

「個人としてはチームの先頭を走れるようなシーズンにしたいです。去年は都市対抗予選の一番大事なところで僕がブレーキになってしまいました。そこに対して今年はどう臨んでいくか。技術面とメンタル面の両方を磨かなければいけないと考えています。チームとしては昨年から掲げている“日本一”の目標は今年もブレず変わりません。その中で予選からいかに勝ち切るか、自分たちの野球をして日本一になります」