クラブ初となるCSファイナル進出を決めた広島ドラゴンフライズ。着実に力をつけてきたチームの指揮を執るのが、2021-22シーズンから就任しているカイル・ミリングヘッドコーチだ。

 ここでは、2023年に収録したカイルHCの独占インタビューを再編集してお届けする。指揮官が大切にする、チームづくりの哲学とは。(取材は2023年3月・全3回/1回目)

フランスリーグでのアシスタントコーチ、横浜ビー・コルセアーズのHCを経て広島のHCに就任したカイル・ミリング。

◆チーム内での化学変化が起こっている

―B1リーグに上がって2年目の昨シーズンは西地区6位でした。そこから振り返って、現在の成績についてどう感じていますか。

 「本当に良いスタートが切れ、チームとしても良い改善の傾向が見られていると思います。2020-21シーズンにB1リーグに上がりましたが、その年は10位、ワーストの成績を記録しつぃまいました。2021-22シーズンは順位を上げることができ、今シーズンはここまでこの順位(西地区3位、2023年3月13日現在)ということは、良い改善ができている証だと思います」

―良い改善というのは、具体的にどの部分でしょうか。

 「チーム内での『ケミストリー(化学反応)』がよく現れていると感じています。チームとしての目標をみんながしっかりと理解し、その目標を達成するために、全員が共通意識を持ってゲームに臨んでいます。個々のキャラクターが違い、生まれ育った文化も違いますが、そんな選手たちが集まり一致団結して、ケミストリーを起こしているのを感じています」

―自分に与えられた使命やチームの目標に対する理解度が深まり、実戦で発揮できるようになってきたと?

 「一人ひとりが役割を理解していると思います。もちろん、それぞれが個人的な目標を持ってはいますが、それが合わさってチームとしての目標に向かっている結果です。バスケットボールは5人しかコート上に出られないスポーツですので、5人それぞれが役割を理解していないと結果が生まれません。ゲームを見ていると、それぞれがしっかりと役割を遂行しているなと感じています」

―その結果が今の成績につながっているんでしょうか?

 「その通りですね。目標や役割の理解力が深まることで、たとえ負けた時でも、気持ちを保ち続け、前向きに次の試合へ準備ができるのです」