鬼門と言われた交流戦を残り2試合残し、8勝7敗と勝ち越している新井カープ。ここではカープOBの笘篠賢治氏が、カープの現状やチームワークについてを独自の視点で語る。

自身初となる5月 月間MVPを獲得し、サードの守備にも挑戦している小園海斗

◆気遣いができる、良いチームになっている

 交流戦は楽天との最終カードを残して8勝7敗と勝ち越し中のカープ。ソフトバンク戦では痛い3連敗を喫してしまいましたが、その他のカードは2勝1敗と良い戦いができています。

 セットアッパーの島内颯太郎はソフトバンク戦で二度敗戦投手になってしまいましたが、パ・リーグの打者が速球に強い部分もありますし、チェンジアップも見送らずに積極的振ってくるので、そこで打たれてしまったのかと思います。セ・リーグでは相手が対戦を嫌がる投手ですが、パ・リーグの打者は対戦経験があまりなく嫌なイメージがないというのもあったかもしれません。

 それでもリリーフ陣は安心感があります。矢崎拓也、塹江敦哉は防御率1点台。新外国人のハーンも合流してきました。セットアッパーの島内、そして抑えの栗林良吏。6回までにリードした展開で試合運びができれば、そうそう試合を落とすことはないでしょう。

 あとは攻撃陣がいかに点を取れるかです。5月は小園海斗が大活躍で月間MVPを受賞しました。打率.368もさることながら、球団月間新記録となる勝利打点「8」と勝負強さを見せていました。一時期は打率3割台に乗せ、現在もリーグ上位の打率を推移するなど好調を維持しています。また小園は今季、本職のショートではなくサードでの出場が増え、慣れないところはあるかもしれません。しかし、ポジションは違ったとしても、攻める気持ち、突っ込んでいく勇気が必要です。安全にいこうと足が止まっていると前に出ていけません。ショートで前進守備をしているイメージを持っていればいいと思います。

 ただ、小園が守備でミスをした際に、松山竜平などが声を掛けていたりと、チームワークを感じます。ミスは誰しもがやってしまうもの。誰も声を掛けないと「やらかした…」とプレーにも影響が出てしまいます。一人で落ち込ませるのではなく、みんなで気遣いをする。そういう良いチームになっているように見えます。

 選手だけでなく、新井監督が良い空気感を出してくれています。昨季同様に負けた試合の後でも前向きなコメントを常に出しています。一番苦しいのは新井監督のはずですが、監督の言動からチームの一体感が生み出されているようで素晴らしいと感じます。

 現在カープは首位にいますが、セ・リーグは最後までどうなるかわかりません。勝負どころはシーズン終盤に訪れることが予想されます。気を引き締めてカープらしい戦いを続けてもらいたいです。